紙。


今は基本、携わった設計業務に関わるデータは、
PCに保管している。なので紙媒体は不要とも
言えるのだけれど、どうにも捨てられはしない。
手描きのものは画像とPDFで保管していても、
やはり直筆を処分することが出来ない性質だ。


メールを読み返すように、データは確認出来る。
けれど、直筆はその時に何を考えていたのかを
再現できる力がある。過不足を知る事が出来、
何を判断したのかを臨場感を持って伝えてくる。


遠隔監理で現場へ行く機会の限られていた、
先頃終えた住宅は、行けない分を相当な量の
スケッチと図面を製作していて、行った方が
早いなーと思う程。それでも十分と言えない
のだけれど、30坪前後の住宅では、在り得ない
仕事を提供させて頂いた。積み上げると5冊。


労多かった先頃竣工のマンションのデザインも、
これは工期が長いので時間スケールは違うけれど、
先ず絵を描き、専門業者の図面が出てきて、更に
スケッチを加えを幾度か繰り返している様が残る。
最終的には、こちらの意図を通しつつ、施工が
可能な製作者の意図を反映し、コストを抑えたい
請負施工者の意図までが伝わる資料となっている。


積み上げたもの、他には春に竣工した住宅と、
もう一つのマンションのデザインと。


危急の際はデータを確認するのだけれど、
この紙の山は当分は保管しておかなければ。
法上は10年の保管義務がある。けれど10年を
過ぎても処分した事がまだないのでした。


描き込んだ痕跡を眺めると、その時に協力を
頂いた多くの方の顔が浮かんでしまう。