タタミの間の使い方

「あさが来た」の再放送に気付き楽しみにしている。
観たり観なかったり、録画を夜更けに観るだけですが。


ヒロインが嫁いだ江戸-明治の大阪の商屋が舞台。
2〜3の部屋が主たる舞台となるのだけれど、
嫁と旦那様、旦那両親、兄弟姉妹、琴を弾いたり、
仕事の会議、食事、商人等との場など様々に使う。
布団を敷けば寝床、卓に配膳すればダイニング、
家族の集うリビング、来客時は応接に早代わりする。
この様々な変遷が見事な「和」の空間。


中でもタタミが面白い。
短辺は90cmほどだろう。正座した人のスペース。
通常はたたみ一枚をあけて対面に座する。
それが日本の、人と人との距離感に違いない。
空けた一枚のタタミにはお茶が置かれたりする。
2枚を空けると大勢が向き合える場と出来、
一枚を超えて寄れば緊迫する関係が出来る。
こうも見事に人の関係をあらわに出来る和室が
どうにも魅力的で興味を惹かれてしまう。


現在の住宅では和室を作る事が稀に違いなく、
そこを応接としてタタミを意識する使われ方は
一層の事に機会はないものと思う。加えて、
1800mm高さにある梁や鴨居、これを潜り抜ける
習慣は無いので頭をぶつけるだろうし、
これを2100mmと現代的にすれば腰高の空間は
座ると居心地が悪くなってしまうのだし、
実はまったく、今の日本人には無縁の間だ。


ただ、この距離感は染みているのも事実。
そういう在り様を失わずに設計に取り組みたい。