あれこれ思う事を。(編集中)

『断熱性能』、『透湿性能』、『追随性能』・・・
RC(鉄筋コンクリート造)外断熱工法における、
外断熱材に求められる要求性能です。


自社設計では未だRC造はないのですが、鉄骨造含め、
様々に経験しております。母校の先生の関係もあり、
親しくさせて頂いている外断熱のメーカーが在る。
写真のカーボンを入りの黒いビーズ断熱材は、
近年製品化されたもので、とても興味を惹かれる。


硬質系の断熱材には高い断熱性能の有る製品がある。
ビーズ法とは魚箱などで誰もが知る発泡スチロール。
カーボン入り製品は初めて聞いたのだけれど面白い。
なぜカーボンを混入すると性能が高まるのか?を、
質問していたのだけれど、未だ明快な答えを聞かず。
ドイツで開発されたものだと言う。


硬い断熱材は追随性能や透湿性能の面で悩ましい。
この製品は断熱性能を高めた上に、必要な要求に
応えるもので、RC造の外断熱では有効だと思える。


そのサンプルは外壁の仕上げまでを含んでいる。
メッシュによる保護、仕上げの具合が分る。


RC外断熱、実は母校の校舎で経験をしている。
当時、改修工事にて外断熱仕様となった校舎建築は
先進事例であり、私自身は身を持って体験している。


寒い冬も、荒涼とした製図室、研究室に篭り、
おそらく正しく言えば、そこに住んでいたし。




木造の外張断熱とRC外断熱とは意味合いが異なる。
外『張』断熱は木軸構造の断熱材を充填できない
部分を含めて外側から包むことで欠損を防ぐもの。
効果的ではあるものの、断熱性能を上げるとなれば、
断熱材を厚くしなければならず、外装材と構造との
距離が離れる点等、悩ましい問題も抱える。


軸組構造内に充填する方法、今は外側に付加断熱を
施し対応しする。実は、どちらが優れているのか?
という問題ではない。『適切な施工』を条件として、
求める性能を計画すれば、どちらも候補となるもの。


同じニュアンスで、木造で言えば、在来木造となる
軸組(柱と梁による)工法と枠組壁工法、所謂、
ツーバイ・フォー構造の違いもそうだろうか。
これも、どちらが優れているのかの問題ではない。
計画に適した工法を選択すべきもの。


建築される方はつい、良い方を選びたい衝動に駆られ、
優劣を求められる傾向があるように思う。
しかし、実際には優劣ではなく、要望に応じて選ぶのが
正しいことと思う。自身の要望を正すのが先であり、
工法や仕様の優劣を比較しても、良い選択をする事は
実は出来ないという現実がある。余談ですが。


木と比べ、RC造は元々気密性が高い。加えて、
コンクリートは比熱が大きく、熱を蓄える事が出来る素材。
断熱材を外側にすれば、この躯体を内側に出来るので、
蓄熱体として保持する事ができるようになる。


温めることに労はあるものの、一度温まれば冷め難く、
芯から暖かい空間を期待する事が出来る優れたもの。
この意味において、木造の外『張』断熱とは意味が、
根本的に違う。あまり知られていないように感じる。


加えて述べると、RCの外断熱のそもそも目的とは?
断熱性能や室内環境性能の向上以上に大切な事がある。
『躯体の保護』となる。内部をウレタン断熱する場合、
躯体表面は外部に露出する。これを塗装やタイルで
保護する仕上げとなるのだけれど、それが危うい。
塗装は10年持たず、タイルも、それ自体はよいものの、
剥離などの危険は伴う。保護層がなければ、躯体は
劣化してしまうことになる。


RC打放しという仕上げはカッコ良いのだけれど、
これもなかなか悩ましく思う。今は塗装のみならず、
様々な対処方法もあるので、工夫は欠かせない。


※RCの外断熱、木造の外張断熱は別物ですね。




私のアトリエは古い鉄筋コンクリート造の建物に在る。
とても寒い。こんな断熱材で保護を含めてケア出来れば、
まだまだ使える建物だと思いつつ。


古い建物なので、各種寸法などがとても面白い。
急な階段、天井の低いスペースなど、今はなかなか
経験できないスケールに満ちている。


今、取り組んでいる、何としてもコストを抑えたい
木造住宅の設計において、あちこち様々の寸法を
確認する必要があり、実に良い実験空間でもある。


一昔ではなく、三つ四つくらい前の建築に潜む
寸法や空間というのは、なかなか面白い。
これで十分と思う部分も多々、これは厳しいという
ものまでも、体感を持って確認が出来ます。




何とか方針を見定められる所まで到達できたので、
これを絵にすべく取り組む夜更け、思いつきを記す。