DOMAのイエ

イベントに合わせてパネルやカードを用意すべく写真を整理すると、使われて
いない写真の多いことに気が付いた。竣工写真を改めてRAW現像してみた
ところ、この内観はとても良く写っていた。


引渡の日のほの暗い雪の早朝。朝日が遠くの丘陵から顔を覗かせた頃だ。
室内はそんな空の光を北側の高連窓より取り込んで既に明るい。全く日差し
のない南の土間は空の光を雪が反射し天井を明るく浮かび上がらせている。


日が差し始めた。この後に雪は直ぐに消えてしまうのだけれど、消えぬ間の
そんな瞬間。冬の朝日は室内の置く深くまで入り込む。なかなか気持ちよい。


冬は日差しを取り入れる。床暖房が施される土間は朝日を得て更に熱を蓄え、
立ち上がり早く室内を暖める。夏の朝日はもう少し東側から登り、お昼には
深い軒の庇に遮られ室内に入り込まない。夏と冬では日差しの取り入れ方に
工夫が欠かせない。間違うと大変なことになる。夏は涼しく冬は暖かく。


          

この写真を含む3枚が発見された。これは引渡し前日の夕暮れ。北の高連窓
から見える夕暮れの空は青い。夜は様々に照明を組み合わせ光を楽しむことが
出来る。クライアントの今のお気に入りは梁上の間接照明のみを灯して夜景を
眺める”闇を楽しむ”明かり加減。この間接照明は傾斜する大きな天井を反射
面として室内全体を柔らかく包む建築を活かした贅沢な光。土間の大開口から
函館山が望めるのだけれど、最初の写真にそのシルエットが微かに見える。