O邸 【 DOMA / yamanote 】

札幌市内のO邸は9月に入ってから大工工事が本格化している。
運び込まれたプレカット材、垂木に必要な金物を地上で取り付け、
ユニックで吊り込み、一気に建ち上がって行く。


この構造骨組みだけの姿は壮観だ。
透けて空が見える様はいつも綺麗だなと楽しみ眺められる。
建築においてある一瞬しか見ることの出来ない姿。


     

玄関から土間全長を望む。期待した奥行きは確保できそうだ。


     

収納間仕切家具によって仕切り使われる2階は実際とても広い。
そして、この家を空間を支える土間の吹き抜けるヴォリュームも
十分ではないかと思う。ここがどう設えられてゆくのか楽しみだ。


構造計画は至ってシンプルなもの。スレンダーな建築らしく整う。
建て込みのための斜材や足場、材料が無ければもっと綺麗な
写真が撮れるのに!なんて工事に関係ないことを望んでしまう。


下から煽るように撮ると大きく見えた建物の道路側からの全景。
実はとてもコンパクトな32坪の建築だ。「大きさ」は現実の建築に
とって最も重要な要素の一つだ。これを計るために相当な労力を
要する。大きすぎると無駄や間延びが発生するかもしれない。
そうなると散漫、閑散、空虚が伴い居心地など求めようもない。
小さすぎては生活に支障を来すことになる。適切で人を疎外し
ない大きさを求めるよう常に心がけている。

これはやがてチョコレートケーキのようになる。”可愛らしさ”を
街並みにおいてみる、と考えている。今後も気を抜けないな。



 

 




O邸の施工業者は信頼の持てる人達が担当してくれていて、
クライアント共々楽しみに現場を眺めている。
金物の必要耐力は設計時に算出している。どのような製品を
選ぶのか?部位に合わせて適切に選定してしまうあたり流石だ。


露出する梁には高価な隠し金物を使用し、難しい土間に立つ
柱の柱脚はスチールプレートを加工して製作している。土間の
吹抜けは構造の柱、梁が現しとなっているのだけれど、羽子板
金物の取り付け位置や向きを調整し、仕上げ面を考慮して
座彫りが成されいてる。見つけた一箇所の不備も既に手配済み
であった。