O邸 撮影初日 ( DOMA / yamanote )

O邸撮影の初日。明日も撮らなければ。


本来はプロに任せるべきなのだと思う。自分には空気を写す
腕はない。ただ、自分で写真を撮りたいと思う。出来ることは
粘ること。今日は一日、陽のウツロイと格闘していた。


7時前に8GBのメディアが一杯となり終了する。700枚以上を
撮影している。それだけ撮れば、どの一枚かはという期待を
込めて先ずは眺める。


RAWの現像は今後としてJPEGより抜粋して写真を掲載する。
時間を見つけて写真つくりに励むとしよう。明日も含め恐らく
1000枚を越える写真群、整理は年内に終われるだろうか?



朝のLDK全景。コートへの連続性といい、広がり感が感じら
れる。ドマの効果、住まうスペースの落着きとの兼ね合いが
出来ていて心地よい、と自分は感じている。



2階はプライベートな空間。今後数十年の生活を支えるべく
フレキシブルな対応が出来るよう可動家具間仕切りにより
作られている。ドマの吹抜けと呼応し閉じつつも広がる空間。


     
この不思議な影は西側のスリット窓の光りがドマで反射して
階段を透かして成している。自然光でここまでの演出が可能
とは想像を超えていた。”光”は人為に沿うことなく驚かせる。


     
まだ家具の入らぬ室内にあって生活感をかもすのが洗面台。
クライアントは随分こだわられていた。横長のスリットが鏡に
写りこみ緑を映える。どうでしょう?かなり贅沢な特別な場所。



夜景の撮影は明日も挑戦する。隣家より一歩前に出ているの
で大きく見えるが、見えがかりは実際不安に思うほど小さい。
随分寡黙な佇まいではあるけれど室内はコートと一体化する。






設計者が設計物件で時を過ごす機会とは実は稀なことである。
打合せが長引くことはあってもウツロウ光りを眺めるシーンは
あるわけもない。だから撮影を自分でする機会は大切にしたい。


今日はとても有意義だった。始めてその空間と誰も介さずに
対峙することができた。自分はカメラを手にすることであくまで
仕事として、節度を保つことが出来ている。


刻々と移動する太陽が目まぐるしく変化を誘発したかと思うと、
じっと留まっていたりする。空間が光りにより出来上がる様を
まざまざと実感できる感覚は他に代えがたい喜びがある。


今まで西日の使い方が分からなかった。今日始めて実感する
光景は大きなヒントとなる瞬間でもあった。居合わせた壁塗の
先生と眺め聞く。あの鋭い光りを受ける壁は尋常ではない。


季節を変えてもう少し楽しみたいと切に願う。しかし、気取って
その楽しみをクライアントに譲らなければならない。もちろん、
計算通りです、とか言い放ったりして。


明日もう一日、楽しんでみようと思う。