光り

自分が自分らしく設計できた住宅はどれもドマがある。
DOMAⅠ:札幌近郊の住宅 ”Bookshelf”
DOMAⅡ:道南の家 ”DOMA”
DOMAⅢ:山の手の家 ・ ・ ・ ・
(計画時期を考えると正確には道南の家”DOMA”がDOMAⅠとなる。)


DOMAをシリーズ化するつもりでもない。
北海道にある北海道の住まい、その要(かなめ)となる
空間として、自分はこの”ドマ”をとても意識しているだけ。
”DOMA”という空間について。 - 田名部伸紀建築設計事務所(ドマについてはこの記事を参考下さい。)




この山の手のO邸、それまでとはロケーションが異なる。
趣のある閑静な住宅街にある住まい、その雰囲気の良さを
取り込みつつプライベートな空間を屋内外に展開すべく
コートハウス形式の住宅となっている。


窓はコートに大きく開いているものの、他の窓は臨機に
穿ち設けている。適所に。


玄関上に設けたこのコーナー窓は外観のアクセントとなり、
朝は朗らで健やかにドマの末端を照らし出し、夕暮れ時には
この様に印象的な光りをもたらす。その様は驚くほど。


ドマの奥深く、10m以上も遠くまで光りは差し込む。


始めてこの光を見た時は、何が起こったのか?自分でも
理解が出来なかった。梁で2つに割れて細く鋭くどこまで
伸びる強烈な閃光は、まるでビームのようだった。



雲の具合により、柔かくスポットを当てたように振舞ってみたり
落とした光溜りがドマに反射して階段を透かして陰影を作るなど、
そのウツロイは恐ろしい程に刺激的で驚かされる。



熱も欲する光りは朝に入り、夕暮れには熱ではなく低い日差しが
印象的な光りの世界を創る。これを西日が担う。
なんて面白い。



どこまでも伸びる光り、ビームを映える壁、これは尋常ではない。
これがクロスなら目も当てられない惨状になっただろう。
浮かび上がる珪藻土の質感がより一層、楽しませてくれる。