日常のシーン。  【DOMA/yamanote】 


      


【DOMA/yamanote】の日常のシーン。


きらりの審査のためにお邪魔した先週末、その後もしばらく珈琲をご馳走頂き過ごさせて頂く。
するとコート(庭)から猫の顔が覗いている。オーナーは窓を開けてドマに案内する。
猫は様子を見てから上がりむ。日課の一つがここらしい。ドマでしばし寛いで過ごす旅猫




写真に写った建築は別ものであることは多い。空間や光の妙はなかなか写り込むことがない。
実際に見ることなく建築を評することは不可能、故に、実際に体感すべく訪ねることになる。
「きらり」でも実際に見て頂けるなら、と思っていた。




この日常のシーン、ささやかな一シーンなのだけれど、この写真には秘密は多い。
外の写る写真は外と内の光のコントラストが強すぎるので室内は暗く写るはず。
しかし、そうは写っていない。正面の壁、右上の”光”加減が健やかさを創る。
(撮影は自然光のみ ・ ・ ・ 自然光だけでどれだけ空間が創られているかは大切だ。)




光や空間、スケールをデザインする建築は壁や床をデザインする建築とは性質が異なる。
雰囲気を写し易い後者の方が写真写りは一般に良い。
しかし、居心地や健やかさ等体で感じるものは、実際の光や空間のスケール感覚に強く負う。


写真では良い雰囲気だったのに、実際は居心地の悪さを感じることがあるだろう。
変哲のない佇まいなのになぜか居心地良く感じることもあるだろう。




【DOMA/yamanote】は光と空間をデザインした建築だ。




壁床天井と、それらに囲まれて創られる空間にはフィルム写真のネガポジの関係がある。
フィルムなど目にする機会が既に稀なので眺める機会はめっきり減ってしまったけれど。


つい、物体としてある壁床等を作り込んだりデザインしたりしたくなる。
しかし、そうすると空間が削られてゆくジレンマを感じる。
実は空(カラ)の方が空間の実である。空間の方をデザインし創り込む意識が欠かせない。


写真は空間よりは物体としても壁床の方が写し易い。
ちなみにネガフィルムでは明るいところは暗く、暗いところは明るく表現されている。
その反転する世界、版のようなユニークな存在だ。これが実は建築にも当てはまる。




モノではなく空間を創り込む考え方は、コストにも柔軟に対応できるのではと思う。

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