建築材料の中でも特に高価な石、なかなか使う機会がない。
エントランスホール全容が見えてきた一棟のマンションは、
厚い御影石を叩いて仕上る試みができた。
(以前に記事で紹介)


中にはタイル程度の製品もあるのでチャンスはあるのだけれど、
折角使うのであれば、気に入った石や前例のような手間を掛けた
表情を使いたいと思う。



これはもう一棟のマンション、エントランスに用いる石、
そのサンプルが現場事務所に届けられたのでパチリと一枚。


床は白系の300角のタイルをベースにグレーと黒のボーダーを
組み合わせて考えている。室内、室外に用いるのが写真の石。
やや変わった質感の表面は手触りがよく、石そのものの波打つ
模様がとても素敵だ。


色合い、模様、手触りともに、どこに使うか悩みそうな、
けれど魅惑的な石は少し前の設計物件の際に見つけたもの。
今の一棟にはピタリな一品と考えていた。
・・・壁に立てかけ眺めてみても、魅力的に見える。




好きな建築家、アドルフ・ロースのウィーンの王宮広場前に建つ
ロース・ハウスは、初めて見た時に感動してしまった。
その質素な佇まい、大胆な模様のマーブルが造る基壇の迫力。


そこまでの事は意図しないものの、今使える材料という制約の中、
効果的な表現を見出すに、ロースの建築を少し参照させて頂きつつ、
さてどう納めて行こうか?思案は近々、本格化するだろう。


諦めずに取組めば、探す手間を惜しまなければ見つけられる。
得た素材をどう使おうか?苦しく難しくとも楽しさが上回る。