風景

道東出身である自分の故郷、手付かずの自然は多い。
そんな中に建築をしたいとは、なかなか思えない。
手を入れずに残す分別が欠かせないのだと思う。


切り開かれた農地では、そこに一つの風景が在る。
前回の記事の最後の風景、酪農のフィールドに相違ない。
かなり間隔を置いて、一群となる農家家屋等が点在する。



とても逞しい佇まい。刻々と変化する様、これは故郷の、
ある道沿いにある印象に残る納屋風景。


多くは、日常設計する住宅比べると比較にならない、
大きな家が在り、その周囲を農業施設が包む一群となり、
道端の一風景を担っている。


以前に書いた『DOMA/道南の家』の敷地への考えは、
今も大切にしている建築設計の物語でした。
空と大地しか見えないようなロケーションはやはり、
設計当初は恐怖以外のなにものでもない。
後にこれを、恵まれたロケーションと出来るかは、
挑戦した後の事、恵まれたと思う事が出来れば、
それは成功への一歩を踏めたのだと思える。


北海道には多く在るであろう田園の風景、住まいも
一つの風景となる。臨機に増減する一群の農家建築、
中標津から別海を抜ける道での展開、昨年の冬季に
訪ねた帯広近郊で見かけた農家住宅も思う事は多々。


住宅のみならず、それが一群の建築と成れば、それは
コミュニティーとも言え、取組みの余地はより大きい。
考える事が増えるなら、挑戦の領域は広がり、人住む
光景を一つの景色として展開出来るなら、どうせなら、
楽しい佇まいであって欲しいと願う。


その成果が、道端にいいなーと思える楽しげな風景を
創くれたなら、魅力的ではないかと思います。