室蘭辺りを。

室蘭は大学時代に過ごした街、
自分にとり、第二の故郷という思いがある。
波立つ太平洋を眺めに走る。


札幌から南へ向かう時は決まって中山峠を越え、
この日は洞爺湖をかすめて有珠へ向かった。
有珠には善光寺がある。お気に入りの場所。


蝦夷三官寺である善光寺、徳川の援助の下に
開かれたお寺なのだと言う。徳川の家紋が
あるのはそのためだったか!
訪ねたお彼岸の日は年に一度のご本尊御開帳の
日だったそうで、賑わいがあった。


噴火湾は南傾斜の斜面に包まれる地形が基本、
この斜面が陽を浴びていつも気持ちよく見える。
この中で有珠は突き出た半島もあり、特に印象に
残るのは、主に地形がそうさせるのだとしても、
特別な場所に思えて成らない。
鏡面のような有珠湾も去ることながら、やはり、
善光寺は抜群のロケーションを得ている。


現代の場所選定は交通等の社会的要因も大きく、
景観を観察して選定するような精細さは、
求めようはないのかもしれない。


善光寺が吸い寄せられたように、ここには数多の
神も集う場所らしく、善光寺の玄関には神棚が
備わるし、境内には竜神様のお堂があったりする。


そのお堂を初めて拝んでみたのだけれど場所が良い。

境内の奥の高み、苔むす地面に高齢の樹木が影を
落とし、この季節、栗が散らかる。



初めて経験したのだけれど、ボタボタと栗が落ちる。
当ると痛そう・・・やや、怖い場所であった。
毬と艶やかな栗の実、心地よく見えた。




史跡となる前はここに住職が住まわれて居たらしい。
善光寺の庫裏となるのだろうか。伝統的名日本の家
らしく田の字プラン、いつも開け放たれ、各々の
部屋には花が飾れている。円空菩薩(レプリカ)あり、
この低い重心の間、南側に広がる境内には賑わい、
北側には落ち着いた明るい庭、何とも居心地が良い。




室蘭は天然の港である内海は工場群がひしめく。
もしもここが市民に開放できる場所だったなら、
一大リゾートも夢ではないだろうな、と思う。


その外洋側は絶壁の岩で覆われている。地球岬
初め幾多の観光名所が続くのだけれど、以前から
興味のあった『誰も居ない海を探す!』を実践する。


夜な夜なGoogleの航空写真等を眺め、降りれそうな
場所を探し、ピックアップをしていた。昨年は
トッカリショに降りたけれど、今年は・・・

国土地理院の地図には『チャラツナイ』と記される。
この湾の地球岬の反対側、イタンキ浜の方は砂浜が
主となるのだけれど、ここは大きな石の浜があった。
岩がちではなく大きな石の浜。位置関係により、
浜の種類も異なるらしい。湾の左右には切り立つ崖。


狭い浜には小さな、捨てられた番屋が残されている。
その軒と呼応する崖の風景、なかなか趣きある風景。
良い場所に出会う事が出来た。




ここはイタンキの浜。大学時代にとにかく海へと
思い立つとここに立っていた場所。浜に下りると、
波の音しか聞こえない。夕暮れ時は特に綺麗だ。
・・・写真家なら三脚は当然携帯するのだろうか、
シャッタースピードが遅くてブレた写真だけれど、
とても良い光景にも出会えた休日。