仕組み。


アカバナ』と言うのだそうだ。
何時も訪ねる森で見つけたのだけれど、
おそらく花は良く目にしている。ただ、
種を飛ばす姿はこの日、初めて気付く。


植物が子孫を残すために、動けぬ彼等は
種子をどう蒔き散らすかの知恵を絞る。
綿毛を使うアカバナの発想はタンポポ
似ている。しかしその構造は全く別方法。


開花時は細長い種子部分の先端に花が付く。
受粉後に花は落ち、この細長い部分が実る。
秋深まり乾燥の進む頃、種子は先端から
乾燥が進み反るように4つに部位に割れる。
割れた4つの棒状部位には写真のように、
綿毛を持つ種が4列に並び取り付いている。
これが織り込まれて実る不思議!
乾燥の進捗に応じて棒状部分は徐々に開き、
先の方から解き放たれる仕組みが備わる。


仕組み込まれる種は精巧、季節の移ろいに
応じる水分量から変化する仕組み。
繊維は集めると風を孕む。得られる風量に
載せられる種の大きさ重さのバランス加減、
どれをとっても見事としか言いようがない。



朝の森は静寂。日が差し森内各部の温度の
変化に伴い風も起きる。日射や風は乾燥を
促しアカバナの種子部分の棒状部位が反り、
先端から種を飛ばす。これが数日に渡り、
行われるのだろうか。雨天では乾燥が止り
現状を維持、綿は閉じ飛ぶ事はない。次の
風を待って待機する・・・


タンポポのように一息に飛ばすのでなく、
一つずつを丁寧に飛ばす仕組みがある。


ただ、何かの都合で割り開けぬものも在る。
写真のものは3本が絡んでしまい、4列の内、
二列が残されていた。ただ、何れ飛ぶのだ
ろうと思う。なんて素敵な旅立ちだろうか。


この写真はノーマルなアカバナの種。




森を歩くのは好きだ。自分の目が正しければ、
こんな構造や仕組みに気が付き観察が出来る。
この精巧で巧みな様、人知を超えている。


或いは異惑星探査の際に使える術だったりして。
動力不要で環境変化への順応を術としている。
アカバナ構造が火星探査の主役になることも
ないとは言えないかもしれないし。



ちなみに、記した事は私の憶測なんですが。
けれどおそらく間違いではないものと思う。
身近な自然の知られざる知恵、集め整理して
みたいなーと思う。いつか、それを応用する
仕組みに取り組めたなら。