【 MoAi in ny 】 竣工しました。 


引渡の前日から帯広に入り、撮影をした。
翌日まで滞在、丸一日の陽のウツロイを
観察してくる事が出来た。


西面の窓は特に印象的な光を演出してくれる。
LDKの西面の高窓は夕刻、低い陽射しが差す。
LDKの反対側にある壁にまで届き陽が映える。
高窓の外にある木々を透かして届くらしく、
木葉の陰影が像として壁に映り込んでいる。
風で葉が揺れる度に室内の像もチラチラと動き、
まるでインスタレーションの様であり、
室内に色を添えるという意味ではタペストリーの
様でもあり、なかなか素敵であった。


日の短い季節の楽しみになるのだろうと思う。
おそらく日の長い頃はもっと北側に陽は沈むので、
南の長い壁面に夕陽が長く遠くまで伸びるはず。


写真の左手は階段室。室内北側のスペースですが、
ここは北面の高窓や地窓など工夫があり、明るい。
この明るさは模型では確認していたものだけれど、
実際にも明るさを得られる事も確かめられた。




今だモアイ?ではあるけれど十分に親しんだ彼、
こっそり誘拐して持ち帰ろうかとも脳裏にあった。
けれど、佇む彼は何も否定せず、むしろ希望に
満ちて佇むようにも見え、場所を得たと感じた。


写真・・・【 MoAi in ny 】に見えるかな?


表題はSTINGの歌にちなんだ事を以前に書いた。
実は、響いたのは歌詞の方だった。
珈琲よりも紅茶、トーストは両面ではなく片面焼きを
というEnglishmanはNYではエイリアンだという歌。


当初モアイをお借りしたのは、打合せでは終始寡黙な
御主人の要望をもらさぬためにと考えていた。
ふりむけばモアイ!が昨日までのアトリエ風景でしたし。


27坪で二世帯住宅。ローコストの極みともなる住宅は、
帯広ではNewYorkのEnglishmanと同義、存在としては
正に legal なエイリアンではなかったのかと思う。


歌詞は次の文句で締められる。
「Be yourself no matter what they say」と。
自分らしくとは、いつも考えるべき事だったはず。


スタートから難題、中途の紆余は路頭に迷う程、
何のサポートもなく請け負ってしまった業務、
振り向けばクライアント、時に頼る目、不安な目、
迷う視線を感じつつ、始めた事を投げ出すのは
性分に合わず、実施段階で諦める覚悟を強いて、
臨んだ仕事であった。こう書くと何か凄いけれど、
クライアントのみならず、自分も信じて取り組む。


幸運にも、この難しい設計の仕事を終えられる事が
出来ました。出会えた工務店は求めようもない程。
本当に良い方々に出会え、感謝しかありません。