【 Moai in ny Story vol.8 】 解決方法は必ずある。

図面、パース、模型にて提案、プレゼンテーションをしたのが2015年初夏。
無事に提案に至ったのだけれど、最初にクライアントにお会いした際に、
「難しい」と何度も告げていたこともあり、とても喜んで頂けた気がする。
これからは「難しい」を連発し、出来るだけ期待値を下げておくかなー


水廻りフル2セットを要望された二世帯住宅、思うところを少し記す。
(※2セットとは、キッチン、浴室、洗面、WCを世帯数分という意味です。)
この時点での解決策は以下の通りだったと思う。
 

1.居室を一つ削り、水廻り2セットを設ける。
2.予算を無視して建築規模を大きくする。
3.水廻り2セットを必要とする問題を解決する。


既製品に頼る一般的な住宅仕様であれば単価は下がり、その分規模を大きくする事は出来る。
ただし、「質を求める」と言うそもそもの要望を諦めざるを得ず、これは選択外とした。
改めて考えると選択肢1、2は非現実的、つまり、妥協のない選択肢は3の一択のみだった。


二世帯住宅は、玄関を含め全て二戸分を用意するケースから、
共用できるものは全て共用し個室を用意するのみと言うケースまで様々が考えられる。
共用部分をどう整理するのかがポイントとなり、選択肢はとても多い。
整理できれば、余分を減らしスッキリとするバランスが見けられるかもしれない。
方法は一つだけではなく、創意工夫、諦めずに考えて行けば必ず解決策がある。


逆転の発想、クライアントは気付いたらしい。より多く共用した方が勝手が良いと。
1階WCは共用化、UTは一ヶ所とし他方は収納へ変更・・・
竣工までの間に様々悩まれていたクライアント、最終の判断は当初とは間逆 !!
熟慮の成果は、私の想像以上にスッキリとしたもの、見事でした。


住まい始めて早一ヶ月経過。この点については未だ、一言も触れられていない。
設計が関与できる事以上に、現に住み、使う人の実際の工夫はあるとして、
使いこなす事が出来たなら、苦労した甲斐があるのではと思う。


計画案はその後、実施に至るとしても、方針を転換する事になったとしても、
様々を考えるベースになるもの、下書きのようなものと考えられるだろうか。
大なり小なり前述のような選択に迫られ、これを一つ一つ解いて行く事になる。
『計画』は大きな視点から、『実施設計』では細部まで、『監理(工事期間)』では実際に、という具合に。