建築は、時間を『ゆっくり』 させる機械である。・・・考察

.
Rathaus Bensberg : Gottfried Bohm
ベンスベルグ市庁舎: ゴッドフリート・ベーム
.
学生の頃、ドイツ表現派の彫塑的な建築に心酔していた時期がある。以前ヨーロッパを
旅した時にその幾つかを見ることができた。これはケルン近郊のベンスベルグの市庁舎。
.
実際に街を歩くと周囲の景観も観察することが出来る。たしか、広々とした丘陵の道を
歩いた。それほど新しくはない建物が閑静に並んでいたと記憶している。そんな街並の
丘の頂にこの建物はある。古いお城だっただろうか、を増改築し市庁舎としたもの。
象徴的な二つの塔がある。その一つはかつてのもの、もう一つが新しいものであった。
.
建築の存在期間は長い。自ずと時を背負い、空間を生み、景色となり街並を担うことに
なる。当時の面影と新しく加えられた市庁舎、その差異が対比されることで時間が継続
されることを意識することが出来る。塔はランドマークであり、その対比がつくる街並
は緊張感を伴う美しさがある。建築家の仕事とは?考えさせられる印象的な光景だった。

.
前述に記事にした『ゆっくり』させる機械・・・正にこのようなことではないかと思う。
刻々と変わり行く人の生活、その時間とこれを育む景観たる大地。その時差を数百年に
及ぶ営みを視覚化させる建築が取り成すことは出来得、可能性を強く意識させられた。

.

.
goggoleより。改めてみると凄い平面だ。が街並みを眺めるとなるほどと思う。



(たくさんのスケッチがあるので思い出したように記事にするものと思う)


.