DOMA/道南の家 設計 vol3 「プレゼンテーション」

提案はとても素直だった。クライアントは敷地のことを最も良く知り、生活の
一部とされている。その魅力は彼等の印象とも重なるように私は感じていた。
凝ったデザインなど恣意的な計画はこの敷地の魅力の前では無意味だった。


そう、敷地の広がりに許されて建築は長く伸び、広がりを享受すべく展開
を試みる。一文字に東西に伸びる”土間”を要とするシンプルなプラン。

敷地の圧倒的なスケールを前に人の住処を心地よく築くこと、実は非常に
難しい。大自然に放り出された感の方が強く怖いくらいでもある。シンプルな
プランは潔くその水平に伸び、地に沿う。全長26mを超えている建築だ。

住まうのは2人、終の棲家。間仕切りる必要すら希薄。ただ、来客は多い。
プライバシーを守りつつ、南面する土間を通じて広がりを室内に与えて行く。
どの部屋からも函館山が見えるように。


断面計画はとても気に入っている。シンプルで伸びやかに空間を作ることが
できる。計画当初から冬至夏至の南中高度を記しつつ何度も何度も検討を
重ねていた。採光、日射取得の制御と調整、土間築熱(ダイレクトゲイン)、
換気、眺望、暖房、照明、構造・・・最も簡素で無駄のない素の空間、素性が
良く高い性能の空間を求めて計画を計る。