DOMA/道南の家 設計 vol10 「急展開」

設計では、”転機”となるアイディアが浮かぶことがある。それは何時も異なります。
”DOMA”では敷地の変更という事件をキッカケに進んだプラン、抱える幾つかを
解決する秘策が本当にふっと、浮かびました。
   
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変更後の敷地は印象的だった。もしもこの敷地でスタートしていたならば?
平屋で長く・・・・・・そのまま広がりを目指して伸びればイイ。
自分は迷うことなく一文字に伸びるシンプルなプランを描き始めていた。



実施は進み仕様も定まりつつある。しかも時間の余裕はない。変更となれば既に
理解を深めイメージを膨らませているクライアントを混乱させてしまうかもしれない。
しかし、そうであってもこれは相談すべきことと確信していた。



プランは容易ではなかった。割高な平屋、面積を絞らなければならない。各部、細部
を徹底して見直し無駄を削ぐ。エントランス廻りではすっきりと外部物置を納める方法
が見つからない。そして、最も難しかったのが増えた「もう一室」だった。





土間側から見る。玄関、収納、居室の位置関係がわかる。




北側から見る。下階が外部物置。


急展開!! DOMAにおいて最も重要な転機となるものだった。得たアイディアは
肝心な全てを解決する秘策となった。・・・不思議なことに自分のスケッチブックには
突然このアイディアが描かれている。本当にふと、決定的に浮かんだらしい。


一室を中2階に配置する。こうすることで一列にならぶ居室は相互に干渉せず、また
プライバシーを守ることができる。エントランスを土間の延長に配置でき、外部物置
はこの室下に設ける。高さはないものの大きく収納性が上がる。6段の階段で上がる
この室は天井がギリギリである。ここの断面だけは何度も何度も検討を繰返した。
つまり、勝手良く心地の良い空間、美しいプロポーションを求めて。



敷地との関係、住まう人のスタイルにダイレクトに応えるプラン。



FAXにて急遽お知らせし、電話にて打合をする。クライアントは驚かれたハズだ。
しかし、そのような大きな変更にも関わらず、順序だてて整理して検討下さった。
何事にも前向きに取り組み、常に楽しさを忘れない方が住まう家。
提案した以上、本当に良いものとなるように必至で設計に取り組む。



※設計事例として”DOMA”(写真集に掲載)、その過程を紹介しております。