闇を眺める。

カエルが空を飛でいる頃、室内からは夜景が楽しめた。
極めて暗い神秘的な闇が・・・。
その向こうに函館山と街の灯を望む。立ち込める雲に映え、
霞む街の灯は幻想的でスケールの大きな光景だった。
 



何度も通ったこの場所、帰るときは何時も暗闇ではあった。
その闇をこんなに穏やかに眺め楽しまれている人が居たとは。
想像して設計していたけれど、目の当たりにすると感慨深い。





■照明

夜景を楽しむことは実は難しい。室内が明るいと窓は室内を
映し込むことになる。スタイルに合わせて工夫の必要がある。
DOAMでは数多くの照明パーターンを用意している。
ペンダント、ブラケット、ダウンライト、梁上照明・・・
経路は対象に応じて分けられているで様々な組合せが可能。




クライアント、既に住まい慣れた様子で夜景を楽しむために
選んだのが梁上照明のみというスタイル。驚いたのだけれど、
とても嬉しかった。自分がはじめて計画した建築で用いた
照明こそ天井に照明を当てバウンスさせて作る間接の空間
だった。DOMAに組み込まれたそれがメインで使われていた。



梁上器具は電気工事職人が泣きながら手間を掛けて設置して
くれたもの、それは小さく簡素で変哲のない照明器具、灯し
ても気が付かれないだろう配置も良く、気に入っている。


照明は幾つかを組み合わせて状況に応じて使い分ける。梁上の
器具を使う天井間接照明はこの住宅の空間を最大限に利用する
もの、それだけでも直下の照度は歩くにも十分で生活に支障は
ない。そして何より窓の外の深い闇の夜景を楽しむには最も
適切な照明環境となっていた。



生活する人自身の工夫もやはり欠かせない。生活スタイルを
自ら創り出す意欲、それに応えるべく建築の在り様、非常に
有意義な経験となった。