「伊能忠敬大図&農業農村パネル展」

札幌市豊平区民センターにてこのような催しが開かれていた。
伊能大図」と呼ばれる既に消失した地図の写本がアメリカの
図書館で見つかったのが2001年の事らしい。シーボルトが持ち
出したものなのだという。実物の地図をつなぎ合わせて巨大な
北海道が再現されていた。縮尺は3万2千分の1とお聞きした。


写真の通り、ホールを床を埋め尽くす北海道。地図は主に海岸
線を辿るもの。ぐるぐると何度も歩き巡ってみた。川や山の記載や
木々の表現などの「描いた」リアルさと、今の地図と変わらぬような
精密なリアルさのある、絵巻物語のような不思議な北海道地図
だった。抽象と具象の入り混じる、通りに合わせて字があちこちを
向く様な日本画風な詩的な地図であったとも思う。


地図で見る北海道の変遷は興味深かった。以前の北海道は実に
奇妙な形をしている。カラフトやエトロフなどは既に知られているもの
松前か函館、大沼しかないような島から、やがて釧路、根室
宗谷、襟裳岬が描かれ始め、200年ほど前にようやく現状の良く
見る形に整いはじめる。随分新しいものなのだと実感させられた。


自分が知っているカタチが本当であるのかは自分で確認したことは
ない。グーグルの航空写真でもそう見えるし、それを信じているだけ。
本当はどんなカタチなのか自分で歩き描いてみたい衝動にかれれる。



当時の測量技術、その精度にはバラツキがあったのだろうけれど、
この伊能という人はとても精巧精密であったらしい。彼の測量の旅に
少し興味を覚えている。どうやって海岸線を歩いたのだろうか?
地道に距離と角度を計測しつつ、しかし誤差は当然あるだろうに
ツジツマを的確にあわせるのは技術なのか感なのか?
おそらくは適当なチームを作り歩いたのだろう。先を行きルートを
確保する役目や寝床の確保、食料の調達係などもあったのだろうか?
時に誰もいない寒い海岸を何日も歩くこともあっただろう。そんな時、
誰かが「もうこの程度でもいいよ、早く先へ行こう。」などと発したら折れて
しまいそうな状況を経験していたかもしれない。そんな時にも律して
個々を集める作業を行えたのことが彼の功績なのだろうか?


会場には古地図の好きな方や専門的知識をお持ちのボランティアなのだ
ろうか?多くの人が集いとても楽しく有意義な時間を過ごされていたように
思う。無知な自分は、何と言ってもこの地図の大きさに歓喜したね。
会場終了の挨拶に沸く拍手がそれを物語り、とても印象的だった。