Good-bye、MightyBoy. (個人的なこと。)

マイティボーイ
(MIGHTY BOY/マー坊)



今朝、マイティボーイが引き取られていった。


長い付き合いだった。そんな愛着があるつもりではなかった
のだけれど、何かを失い欠けてしまうのを感じるには十分、
泣いてしまったヨ、マー坊くん。お疲れ様だったね、君は
我家に来て良かったと思ってくれているのか、どうなのか。


・・・と、擬人してしまえるに十分な精神状態にある。





故郷の知人がある日、変わった車に乗っていた。何度か
ドライブしたこともある。やがて車検が切れ、そのままに。
妻が見惚れ、我家の一員に加わったのは2002年の秋の
頃、ちょうど今時期だった。


走行距離の少ない彼を見定めて事あるごとに話をしてい
たという知人がもらい受け、ついに我家が預かることに。
自分であれこれイジレる技術があるわけでもなく、既に
クラッシクカーの仲間入りをしそうな彼を維持するには弟の
力が欠かせなかった。


動くのか?という彼を何とか動かし車検を取得する。壊れる
まで乗るか、いつまで乗れるのかはわからんという状況だった。
後に弟に面倒をみてもらう。車検の時は取り終えてから
数週間戻ってこないことも多々あった。キャブレターなんて
見慣れないものが付いているスカスカのエンジンルームは
本当は学べば基本的なエンジンだろうし面白かったのかも
しれない。そんなエンジンを弟は事あるごとに趣味のように
調整、メンテを施してくれた。バラバラにして掃除をしてくれ
たり。それがどれほどの労力なのか良くわからなくて申し訳
なく思う。痛んだ板金やマフラー廻りも手を入れてくれる。
数年かけて窓開閉のクルクルまわすノブを探してくれたり、
気がつくと明るいヘッドランプになっていたり。弟が居てくれた
おかげで何とか乗ることが出来たのは間違いない。とても
感謝している。




主には妻が乗る。彼女のお気に入りの相棒だったのだろう。
そもそもこんな長い付き合いになるとは思っていなかったし。
気ままな関係だった。


既に錆付いていた外装、洗車されることもなく道具感まる
だしで乗られる。染織につかう枝やら幹やら葉やらが無造
作に荷台に積み込まれ使われていた。自転車を積んで
走ったことも多々あったなー。自分自身も2年ほどメインで
使っていた。マニュアルが面白く意外と元気でもあった。


ただ、故障には事欠かなかった。エンジンはどうにか騙し騙
し使えたけれどしばしば不調を訴え、止まることもあった。
温まるまではちょっとした坂を登れないしさ。
一番大きなのはミッション交換だろうか。ある日、下のギアが
走行中になくなり、3速でどうにか家まで生還したこともある。
載せ変えたミッションが4速であったのは残念であった。


一ケ月ほど前にマフラーに穴が開いたらしい。爆音仕様と
なってしまう。車検を前に弟が遠方に引っ越していた。
弟の伝で車検をしてくれそうなところに見積もりをして頂くと、
ん十万円となっていた。しかも、当然なのだけれど、作りは
したけれど項目中の8割は実際部品の調達が出来ません
という不思議な代物だった。自分で出来る人は、あちこち
から様々な車の部品を調達しては代用し楽しんで乗る車、
そういう術のない自分には誰かに頼らざるを得ないの状況
だった。走る、けれど維持するにはあまりに多くが不足の
状態だった。お荷物になってしまうかもしれない。好きだけ
では維持できず、判断を迫られてしまった。


在籍期間は8年に及ぶ。彼のメーターは7万8千Kmを差し
ていた。2人しか乗れないし、実用?という感じもあるし、
趣味の車なのだけれど、日常の用には丁度良かった様だ。




駐車場に君が居ない風景に慣れるまでには時間がかかる
だろうな。まさかこんなに喪失感を覚えるだなんて。


前の日に家族総出で綺麗にしてあげた。
遠出には不安があるので、結局近所のスーパーへの買物、
近所の田舎道まで胡桃の木の葉拾い(染用)、それに
しばしば通った本屋さんまでなど日常と変わらぬところを
走りめくってみた。変わらぬ日常、それが君には似合うね。
さり気なく、着飾らず。いつしか、3回くらいで窓からズレ
落ち動かなくなるワイパー、最後の雨の夜は駐車場の
直前まで動いていてくれた。気遣いもしてくれたのか?


お疲れ様。今までありがとう。君の事は忘れないヨ。
忘れるのは無理だ。楽しかったしさ。
君のことを思い出にしなければならない事が辛いよ。
小さくて、人と居るのが似合うヤツだったな。



Good-bye、MightyBoy.