案内。【DOMA/yamanote】

ASJのお客様が見学されるというので案内のためDOMA/yamanoteに行く。
実は先週も訪ねている。リビングの壁塗を一緒したクライアントの友人mog
さんの個展に行くとので。その日も珈琲をご馳走になったっけ。


DOMA/yamanoteのクライアントは実に住まい方が上手い。安心して眺め
させて頂ける。まだ引っ越されて1ヶ月にも関わらずスッキリと生活が始まる。
直にしっくり感も増してくるのだろう。


お客様に夜も綺麗でしょうね、と訪ねられた。確かに照明の選択肢は多い。
竣工写真では撮影用に全てを灯したけれど現実には明る過ぎる。照明は
どうとでも作れるので、住まう人に合わせた環境を探すほうが肝心だと思う。


自分なら?きっと2Fホールのダウンライトを灯してドマの壁に反射させて
1Fに明るさ感を創り、PH5を灯すだろうと思う。今度、試させて頂こうっと。




この日は夕暮れ時を楽しませて頂いた。ドマの壁はリビングからは見えない
窓により照らされている。故に、リビングとは異なる光がウツロい、消え行く。
その様が一部始終観察出来るのだけれど、表情が不思議なほどに深い。


今日のような曇天の下でも、この家には健やかさがある。自然光において
悪条件の下でも安心して過ごせる空間を設計することは困難至極。照明を
使えば安易で楽だけれど、作為的に振舞うのは竣工写真だけで十分だ。


そのウツロう光の正体を説明することはできる。実際には気が付かれない
ことの方が多いだろうと思う。自分はそれで良いのだと思っている。案内した
時はアピールしたけれど、種明かしはつまらない。


この家は床と壁、その質感を最後まで大切に創られている。吟味した光と
大きさ(スケール)を伴い、その質感は空間の中で一層際立つ。それが生活の
場となる強い空間なのだけれど、実にさり気ない。


ハレの場として魅せられれば、それはそれで分かり易いアピールになるかも
しれない。けれど、生活の場では不要だろう。安易に分かる様は飽きを伴って
しまう。常に発見に満ちる落着きの空間が望ましいと、自分は思う。




さり気なく、クライアントの人柄と相まって実に居心地はイイ。この日は友人を
招いてホームパーティーの最中でもありました。いつしか勝手に輪に入って
しまい、呑みますか?泊まってゆきます?とまで誘われてしまう。


折れそうてあった自分がいる。が、しかし踏みとどまり、今日は建築最後の
仕事となる表札の字入れを何とか無事に済ませて退散した。


・・・アブナイ、アブナイ。




照明が創る夜は、明かりを大切にした暗さがイイ。以前から使われていた
照明は階段下にポツンとある。とりあえず、居場所が見つかったらしい。
一つの明かりですら飽きずに楽しい。(写真。)