ドマのある風景、その3【DOMA/bookshelf】

boolshelfでのHickoryWindのA氏による講演、その3です。
住宅の案内と、講演を通じて知りえた事などを書きます。




2世帯住宅であるbookshelf のドマは建物に比例して大きい。奥行き18mの
吹抜けの空間である。主には廊下なのだけれど、収納や洗面台、ストーブが
備わる多機能空間であり、テラスや庭へと開放されるエンガワでもある。


夏場は深い軒先が日を遮るものの、暑さは入り込む。bookshelfでは奥まった
北側に居住空間があり、吹抜けを介して確実な換気経路が確保されている。


冬場は日射蓄熱が期待できるドマも、夜間は窓からの冷気対策は欠かせない。
窓の過半が集中するドマ、ここを重点的に対処すれば室内を安定させることが
出来る。実際、一段高い床も冷気進入にも効果がある様子だ。


と、いう具合にどのような住まいでも起こり得る事象をどう解くのか?機能や
性能という面でもドマは重要な役割を果たしている。けれど何よりこのドマは
アウトドア派のクライアントにとっては何より欠かせない場所のハズ。


キャンプ道具やスキーの手入が遠慮なく冬でも出来る。泥だらけの子供達は
テラスから浴室へ直行し、ジジはそのまま庭へ行き、冬はストーブで火遊びを
されている ・ ・ ・ 。そんな活動の場としても活躍している。




そんなドマがこの講演でのステージとなった。




ドマは背の高い空間なのだけれど、リビングは背の低い空間となっている。
キッチン一体型の2.2mのダイニングテーブルが備わるスペースは天井の
高さは2.1mしかない。ただ、これが心地よさを作る一つの秘密でもある。


全てが大きいと間延びした退屈感を感じるかもしれない。大きいものと
小さいものがバランスよく組み合わされてこそ、空間は妙を発揮する。
そのダイニング空間、パーティーでは大人10人が寛ぐスペースとなる。


実際、落ち着くと動けなくなるのだけれど、料理が美味しかったからなのか?
会話が弾み楽しかったからなのか?空間が良かったからなのか?いつか
確かめたいとは思うのだけれど、最終的にはいつも酔っているような ・ ・ ・





公演中の風景。リビングからの眺めはドマからの眺めとは異なり、落着きある
ように思える。座る場所は来客各人が選んで座られている。照明の選択肢は
多く、この時はダイニング後のブラケットを灯している。(写真は少し明るめだ。)


A氏は数々の講演を経験された方なので、このような住宅にあってもうまく活用
されていた。見事なプレゼンテーションに感銘する。詳しく書こうかとも思ったのだ
けれど、とても個人的なことでもあるので、その編はmixiに書いてしまった。


ライブ風景とは異なり、こんな具合にもなってしまう。


リビングは広いのだけれど、ドマの開放感に接することで、より小さく落ち着きを
求めることが出来ている。ドマなしで低い天井なら窮屈感があるかもしれないし、
ドマだけなら開放的過ぎて落ち着かないだろう。


スライド講演とパーティー、それにライブと異なるスケールの活用を一晩で体験
できたこと、無事に楽しく終えられたことはとても嬉しかった。









bookshelfは2世帯住宅を動線の多様さで解いている。浴室に行くのに、こちら側からなら
子世帯、あちらからなら親世帯という具合に。どうアプローチするのかは実際とても重要な
ことなのではないかと思う。内動線があり、階段が2つあり、数多くのループが描ける。


・・・故に、本気で鬼ごっこが楽しめる住宅となっている。以前書いたサヴォワ邸での園児の
楽しい様がヒントでもある。そこを学んだ人など、ちょっと聞いたことはない。けれど、実際、
それはかなり楽しいことだと思うし、カッコ良さでもなく必要不可欠な住宅要素かもしれない。


既に何度も鬼ごっこをさせて頂いているのだけれど、引渡時のイベントも鬼ごっこであった。
笑うなかれ、写真があるのだけれど、本気すぎてちょっと人には見せられない。そんな経験から
この日はあちこちから顔を出し、様々な角度から撮影することが出来た。まさか実用出来るとは・・・