スケッチ


生まれ育った道東の小さな街には、大きな木材製材工場がある。その工場を
描いた絵は、あるギャラリー主催のスケッチ展で優秀を頂いたと記憶している。


気に入っているスケッチだ。小さな頃から眺めていた姿は、少し異様な光景に
見えるけれど、親しんだ日常の風景でもある。この工場、今は稼動していない。


故郷の街並みは、随分変わっている。移設された工場は山並のように巨大だ。
通った小中学校は当時の面影がごく一部にしか残されてはいない。かつての
お店は随分、減ってしまった。かわりにコンビニが2つほど。






それでも幾人かの幼馴染達がまだ住んでいるし、少し街を離れれば当然、
クマの住む山が奥深く広がっていて、自分の良く知る好きな風景がある。


高校まで一緒に通い、社会に出てからも親しくする友がいる。札幌ドームで
日ハムを観戦するような。彼が住職を勤めるお寺、その本堂は古く立派な
ものだ。そのお寺の会館と庫裏の設計に携わる機会が、かつてあった。


そのお寺、当面は最後の改修となる納骨堂をいよいよ改めることになった。
既に故郷を離れているのだけれど、設計を依頼される幸運を頂いた。


現在、取り組んでいる最中 ・ ・ ・ なのだけれど、遅々として仕事は進まず。
彼は彼で忙しいらしく、時間がないと伝えているのだけれど、呑気なヤツだ。


本当に時間がない。1月中には実施設計を終えなければならないというのに
まだ計画を終えていない。・・・どうしましょう?お正月はあるのだろうか?


一気にカタをつけるべく、日曜から故郷を訪ねる。果たして。






故郷の街に自ら残せることは幸運に違いない。自分よりも長くそこにある存在と
なるのだろう。街並みの一風景として想われるような姿を求めて取り組む。