椅子

例えば椅子から始め、身のまわりを想像し、イメージする膨らませる。
そんな設計も面白いのではと思う。心地よさを身体から考えるスタイル。




ともすると何LDK、寝室が何帖、システムキッチンに・・・という規模や
仕様やから考え始めるかもしれない。でも、せっかく創る住まう空間は
やはり心地よさや住まうイメージを大切に考える方がより楽しい。




触れる、座る、佇むのようなごく日常を十分にイメージしただろうか?
イメージが出来上がるなら、自ずと建築像が浮かび上がるに違いない。
設計とは、これを探す作業に他ならないと考える。


そんなイメージを温める手掛かりのとなる一つが、椅子選びだと思う。
椅子は千差万別。好みの椅子を探すことは、実はとても難しく楽しい。


どのような時に座るのか、座って何をして過ごすだろう、ふと眺める時は
どのようだろうか?一脚の椅子を選び抜くことが出来たなら、それは
とても刺激的なこと、イメージの膨らむことが約束されている。




自分の場合、ベンチマークとしているのはハンス・ウェゲナーの「Yチェア」。


        


既に半世紀を越えて名作とされるこの椅子、おそらく半世紀後に改めて
眺めても惚れ惚れ出来るに違いない。普遍とさえ思える美しさを備える。




多くの方が納得されるだろうその座り心地なのだけれど、告白すると実は、
Yチェアの座面の角度が好みではない。どうも。前へとずり落ちてしまう。
メーカーさんなどに相談するときは、座の傾斜のあるものを告げる。良い
人なら、それで理解をして頂ける。その意味でも確かなベンチマーク


北欧モダン、例えばこのYチェアを食卓椅子に選ぶとすれば、やはり、
定番である同郷デンマークのルイス・ポールセンのペンダント照明を灯す。
イッタラなどの食器を集めてくると、一つの風景が完成してしまう。