大工工事 その2  ■S-house vol.24


S-houseでの大工工事、終盤の山場となった2Fカウンターの製作現場、
その1から続きます。




    

ある日の現場打合せ、昼過ぎに終えて現場を見て回る。カウンターの
製作が佳境を迎えていた。既に部材の加工は終えていて、取り付ける
ばかりになっていた。床には大きな天板が横たわる。


吹抜に足を放り出して使うこのカウンター、長さが3600mmもある。
手摺と足掛け、照明を備えるカウンターの支えを無骨にしない工夫、
スチールなどの高価な特殊部材を使わずに出来ないか?悩んだ。




    


4枚の集成材プレートで支える。すっきりとしたデザインが出来たのだ
けれど、実際の加工は複雑だ。製作、組立工程がデザインには影響
しないので、その製作加工は大工さんの技量に託される。




    


使う人、考える人、造る人、各々が最善を尽くすことことで、より確かと
なってゆく。絵ではすっきり取り付く構造も、実際は工夫が欠かせない。
欠き落とした部分の小さな穴、この大工さんの工夫の一端だろう。


既に事前に打合せはしていた。「部材、線は少なくシンプルな美観に」
という意思疎通が出来ている。こういう細かな部分は監理がなければ
間違いなくゴテゴテと余計な部材が取り付き残念な結果になってしまう。




        


昼休憩を終えた大工さんがいよいよ取付作業に入る。この時は声を
掛ける事ができない。「最善を尽くしたぞ。どうだ?」という気合の背中、
確かな手さばきが逞しい。


いつも綺麗な現場も、事が始まると必要なだけ十分に道具や部材、
半端材が展開する。作業への集中の高さが伺える。




そんな声には出さない会話が現場では数多くある。特にシンプルな
納まりには、そこに至るまでの経過、深い物語が隠されている。









S-house、間もなく竣工します。今週末から現場を案内できそうです。
見学の希望、お受付します。先ずはメールにて連絡下さいませ。