エコ・ハウス   【DOAM/道南の家】




道南で設計した住宅【DOMA/道南の家】が「エコ・ハウス」というカレンダーの一項になるという。
どこで売られるのかも定かではない。ただ、「エコ」について考える良い機会とはなった。


「エコ」 昨今目にするキーワードは、例えばソーラーパネルやLEDなどを差すことが多そうだ。
では、普通の家がそのような装置・技術を備えるとエコ・ハウスになるのだろうか? それでは
あまりにも安易に見える。見落としてはならない大切なことがあるのではないかと思う。






【DOMA/道南の家】は広大な敷地に建つ平屋の一軒屋、設計条件に恵まれ真摯に取組むことが
出来た。それは建築の在り方について一つの理想を求めることの出来る機会でもあった。



自然の力を活用し、無理・無駄なく良好な基本環境を建築自らが創り出すことをコンセプトとする。
特殊な装置や技術に拠らず寒冷地住宅の基本仕様を徹底する、パッシブでローテクな建築。
通風、採光、遮光、眺望、開放、暖房、蓄熱、プライバシーをシンプルにバランスする建築を探求する。


南面全長に渡るドマはバランスを計る上で最も重要なスペースとなる。四季、昼夜の温度変化を
調整する温熱環境の緩衝スペースとなり、外部からプライバシーを守る緩衝スペースとなり、各室
の関係、距離感をつくるプラン上の緩衝スペースともなる。


南傾斜の大屋根の創る遮光、採光、通風の効果を加え、建築自身が良好な環境を築くデザイン、
その特徴は断面(掲載図面)に最も良く現われている。設計当初からイメージしていた姿でもある。
実現すべく何度も何度も検討を重ねた成果、非常にシンプルな建築を導けたのではと思う。












先日一年点検(一年半以上経過はしていたが)を終えた【DOMA/道南の家】、しばらく後の
ある休日の夕方、「遊びに来てください。」と電話が鳴る。そんな嬉しい言葉を聞けたのは、
クライアントが庭で焼肉をし、ほろ酔い気分であったからだけではないはずだ。


エコ・ハウスの記載、まんざら誇張の嘘ではない証にならないだろうか?




DOMA/道南の家】まだ竣工やその後の写真を紹介していない。おいおい書いて行きたい。
今回、エコ・ハウスという視点から整理してみたのだけれど、実際のところ、それが楽しい
住まいでなければ意味がない。ステータスやカッコ良さだけでは退屈過ぎるだろうと思う。


住まうには当然、クライアントの創意工夫は欠かせない。その手助けが出来る建築なのかが
実は問われるのだと思う。その成果が無理・無駄のない姿なら、理想の具現化に他ならない。
気負うことなく自然体で住まえてこそ、真にエコと呼べるのではないだろうか。



引渡しの日の朝、早くに写した写真。リビングの大きな連窓からは日の入らぬ天空光のみ、
厚い雲に覆われた雪の日。北側高窓からの採光が心地よく室内を健やかに明るくする。
断熱、暖房の性能に申し分はなく、ただここに居るのが嬉しかった。







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