朝焼け   【DOMA/yamanote】 


「きらりと光る北の建築」というものに出展する。今月末には大通りで展示され市民投票もあるらしい。
街で見つけたその名の通り”きらり”とした建築を集め眺める催しに【DOMA/yamanote】を出展させて頂く。
写真を添付するので、オーナーと相談し、また私のリクエストもあり、外観を撮影することにした。








お隣さんの具合と比較できるような一枚が無かったので撮ってみたかった。選んだ時刻は早朝。
普段は夜景をと考えるのだけれど【DOMA/hachiken】で撮った朝焼けが気持ち良かったので試してみる。
「寝坊すると思っていた!」とか言われながらも予定通り朝5時に撮影開始 ・ ・ ・しかし、雨であった。






初めてこの敷地に立った時にも感じたのだけれど、ここは空が綺麗だ。
緩やかな丘陵にあり、建築の後方に大きな空が広がる景観。


間口は狭く奥に長い敷地が並ぶ。方位とは約45度の傾きがある。周囲の家は長手方向を二分し、
道路側に庭を、奥に住宅を”南西向き”に建築している。【DOMA/yamanote】は朝から日差しを
得られる南東を向いて建つ。敷地の長手方向に二分する細長い建築のコートハウス。


周囲の家よりも道路に張り出しているので、一見大きく見えるのだけれど、奥の3階建の住宅の2階相当、
手前の家の勾配屋根の下端までの高さしかない、実にコンパクトで小さな建築。ただ長い。約14mの長さ。


1階には2間=3600mmの連窓という大きな開口がコートに面する。塀に囲まれているので外からは見えない。
写真ではとても閉鎖的に見えるのだけれど、実際は各所にスリット窓等を配置し、室内は隅に暗がりのない
自然光だけで明るい空間(これが重要)が出来ていて、かつ庭への開放感も備えている。




周囲の家が道路側に空地を作った結果、通り行く人の視線が気になりレースのカーテンで閉じ、結果的に
閉鎖的に振舞わなければならないのに対し、夜でも気兼ねなく外を楽しめる様が今あることを思うと、
開く場所、閉じる場所の選択はやはり非常に重要なのだと実感する。ちなみに長いというのは面白い。




コンパクトで小さな建築=狭い、ではない。大小のスペースを組み合わせ連続させ、長さを生かした
伸びやかな空間、綺麗な空のコートの広がりをも取り込み敷地全体をデザインした空間に特徴がある。









写真左手に建築、右手にコート。コートの上には空が広がる。通りからも空が綺麗に見えるのがわかる。
外からは覗けないプライバシーのあるコートの上に広がるプライベートな空が住まいに開放感を与えてくれる。
ただ、暗い早朝の雨空では空があまり綺麗に写ってないなー。








竣工写真での夕景。抜けるような空が似合うと思う。丘陵地で空に恵まれているとしても住宅街では諦めがちな
景観、実際、空の似合う家はそうはないのではないかと思う。オーナーは既に楽しまれている。


周囲がそびえるように人を迎える佇まいであるのに対し、【DOMA/yamanote】の低く小さな佇まいは
人に馴染むスケール。それに空を添えて迎えてくれる。訪ねる時はいつも空を感じる。




写真は何にしようか。

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