ドマ
滞在した朝、一時、陽射しが差し込む。光るのはドマの床。
モルタルを金ゴテで仕上げた質素な仕上げ。
元々はタイルを考えていて、散々サンプルを集め検討をする。
けれどどれもピンと来ることはなく悩んだ末に、
オーナーさんと相談の上、施工担当のI氏とも検討し、
この床仕上げを選択する。
仕上げを検討してゆく中で、木の表情が大切にされ、
釣合うバランスを探した故の成果である。
ドマは主動線となる。家事動線は裏にあるけど。
リビングから各所へ、更に庭のデッキから、
読書のためのゆり椅子が置かれていて、
という交差部の床が特に良い表情になってきている。
6年目を迎える【bookshelf】も、
いよいよ風合いを備えるに至りはじめた。
朝日を浴びて輝く床、
俊工事には絶対に手に入らない質感だ。
「光」に随分精を出し設計をした【bookshelf】。
今も建築を話す時、しばしば言葉にするのだけれど、
今はオーナーさんの理解も確実に深い。
住まわれているのだから当然といえば当然だけれど。
「光ですね。」と、先に語られることも多いですし。
空間は他には経験できないと思うほど、
大小様々を組合すことが出来ている。
(確かに他で経験したことがない。)
更に、年を重ね風合いを増した質感も備えている。
建築の空間は3つの要素から創られる。
光、スケール(空間の大きさ感)、テクスチャー(質感)。
この3つに還元することが出来、これを考えなければ
建築的な空間には至ることがない。
安易な方法は数多い。照明を使えば未熟な採光技術を補えるし、
空間は大きくすればとりあえず不満は解消できるであろうし、
高価な素材を選べばそれなりの質感を手に入れることが出来る。
【bookshelf】は安易にセンスやデザイン偏重で解いた建築ではない。
必死に、大いに悩み、その上最大限に楽しみながら、
在るべきシンプルな姿を求めた設計。
そういう強い想いは、既に5年を経過した今も弱まることはなく、
写真のようなテクスチャーが日常の生活空間を支え始めるに至り、
眺めて実に心地良く、実感を伴って楽しませてくれている。
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