森の中は、こんな風景がどこにでも溢れている。
落書きのように有象無象の線が交差する世界。


草木の茂る夏よりも、春や秋、雪で覆われる冬は
特に線が少なくなり、観察すれば意図ある絵すら
容易に見つけられそうだ。


山陰に入る夕暮れ、雪融け水が混じり濁る沼は、
陰影にも乏しく、何の表情も持たない水盤となる。


枯れ果てた昨年の草が落とす影だけが黒い。
影は、水盤から僅かな空の光の反射をも奪い、
黒々とした湖底を垣間見せてくれる。

魚か亀でも居たなら絵になるのかもしれない。
自分は、対象の必要は感じず、好きなものを
写すだけ。この草の落とす影、その線が好き。




幾多の引いた線の中から適切なものを選び、
修錬し、洗練を求め、という過程の中からでは、
導き難い、自由な線が森には溢れる。




それで居て必然だというのだから、
自然の凄みを端と感じてしまう。






下手な写真の自己弁護か、もっと上手ければ、
ひょっとしたら、語らずとも美を案内できるのかも。
・・・他愛のない思いつき日記でした。