語るもの。



何かの機会に学校に行くと、目止まるものに溢れている。
水道、吐水口が上下に回転し水飲みの出来る、かつて
親しんだ覚えのあるものが目に入った。


あちこちを向いた水飲場もあれば、ここは下向きに綺麗に
揃えられていた。ついカメラを向ける。思うような写真が
撮れず膝を落とし、本気で・・・しかし、踏み止まる。


突然、水道をカメラマン気取りで写し出す人、変だよね。


感情を抱ける対象とは、様々な物語を背景に感じるからに
違いない。親しく思えたのは自身の記憶とも合致するから
だろうか。この回る口がすらすら語り出したように感じた。






建築を考える時、表層のイメージをなぞることはしない。
語るだけの重み、質、風景に相応の『物語』が欠かせない。
その『物語』や対象の背景こそ、大切にしたいと思う。