ドマ 【bookshelf】 【編集中】

私が「ドマ」と呼ぶ空間、既成のイメージはありません。
時に土間、縁側、サンルーム、廊下、様々ですが、
どれかということはなく「ドマ」と呼んでいます。


初めて実現出来たのは札幌近郊に建つ【bookshelf】です。
この住宅はネット上で開催されたコンペを勝ち取ったもの。


ドマは主動線であり、二世帯を隔てる実に長い距離感であり、
サンルームであり、読書の場でもあり、という提案でした。


何より、楽しい空間がそこにあります。何時訪ねても、
ここのドマは快活で生き生きとした様が広がります。


設計当初は私の創造した空間でしたが、今はオーナーが
使いこなす、欠かせない生活空間であると思います。


私の考える北方圏で住まい、その基本デザインです。





設計ではタイルを考えていました。実際には減額調整の末、
コンクリートの金ゴテ仕上げ、しかし、これがとても良い。
経年の変化により、適度に割れ、馴染み、色づき、
思いも寄らぬ自然は風合いを見せて今に至っています。


この実に長い土間の末端に設えられた薪ストーブは、
設計時にはなかったのですが、建築直前に決められたもの。
動線の末端に火のある光景、理想のように思えます。


二階の全ての部屋がこのドマに吹き抜いて面しています。
ドマから入る光は、低く構えた屋根の軒先下より差す、
拡散した光として届きます。その不思議な光加減は、
プライベートな室の並ぶ二階空間を程よく落ち着かせます。


【bookshelf】冬のある日に訪ねた時の夜景、外観です。





読書好きなアウトドアな家族のための家。
常識的な住まいのカタチではライフスタイルに応える
佇まいは想像が出来ませんでした。


サンルームのような余剰空間は面積を押し広げるだけ、
これを主導線として要となる空間に仕立ててプランに
組み込み、二世帯を隔てる実質的な距離を見出し、
変化のある間が読書の場所ともなるよう創造しました。


土で汚れた子供達は玄関ではなく、ドマから帰り、
そのまま浴室へ直行でき、薪ストーブの薪を積み、
スキーやキャンプ道具の手入れが遠慮なく出来、
植物達の世話の場となり・・・


大きな窓からは日差しが入り、その窓からは冷気も
入り込む、厳しい温熱環境、ここを主たる寛ぎの
リビングから切り離して暖房することで安定した
生活環境を築いています。室内環境を整える空間。


暖房、換気、採光、眺望、開放感という時に相反する
機能も調和させる実質的な要、家族皆が共有する空間、
それが【bookshelf】のドマです。