桂。

 


何時からか何故か、桂の木がとても好きだ。
その円い小さな葉は紅葉も綺麗な上に、
その小さな粒で覆われる大木は、点描の
繊細な中にあって幹は極めて強く立ち登る。


力強さと繊細さ、生命力を感じさせる樹木、
建築材料としては、木らしい木でもある。


特に好きだった桂の木、先に訪ねた故郷の
チミケップの湖畔に在った。


学生時代、4年目に迎えた卒業設計に際して、
自分の何かを知りたく探す道路で出会う。
やはり、秋の頃だった。


その木は、自分にとって特別なものだった。
けれど、何時しか無くなってしまった。
今思えば、強風で倒れたのかもしれない。


訪ねた日は道東を襲った強風の後日、
この場所も相当な倒木があり、現に道が
先へは行けない状態であった。


オンネトーには好きな桂があるのだけれど、
ここでは見つけて居なかったものの、
自分の目は節穴かと戒められる。


湖畔へ辿り着く道に、これは在った。
道を覆うようにある、小さな円い葉。
幾本かが絡み合い、失いつつも今も、
その立派な姿を見せてくれていた。


時々ではあるけれど、定期的にここは
訪ねるので、次の機会にも見せて欲しい。
その誇らしい佇まいを。