塗壁

塗壁は好きだ。塗装のドライウォールも、珪藻土
漆喰塗りも好きだ。何といっても光が綺麗に映える。
ただ高価だ。一般的なクロスの壁よりもずっと高価。
でも使いたい。見積もり調整の時、減額案として
施主施工を選択する事を昔から使っていた。
自分で塗っても、その方が良いと考えている。


ということで自分もあれこれ、漆喰や珪藻土やらを
塗った経験がある。コテ返しは出来ないけれど、
素人でも何とかなる塗材料は少なくない。


帯広で設計している住宅、現在は監理の真っ最中。
この住宅も減額案として手の届く範囲は施主施工。
写真は塗り上がったばかりの、乾く前の珪藻土壁。


施工は先日のもの。改めて眺めても、いいなーと
心から思う。素人塗りなので決して上手くはない。
けれど、塗り手の個性が現れる趣ある壁とすれば、
思い入れある思い出深い壁になれるかもしれない。


塗手はクライアント御夫妻と私、飛び入りで
工務店のO氏、そして難所サポートは職人さん。



施工当日は職人がサポートしてくれた。
種を明かせば、彼等が仕事をすれば、我々に付き
合って下さった時間の1/4くらいの時間で塗り終え
られたそうなので、これが本当に減額案であるのか?
疑問は残るけれど、実に良くして下さり、また
手配頂いた工務店の担当者共に感謝しかありません。


彼等のコテさばきはあまりに見事で、眺めていて
惚れ惚れしてしまう。珪藻土を見事にまな板の上に
載せ、如何様にも調理しますよ!という具合だった。


親子の職人さん、お父さんはもう耳も遠く、本当に
話が通じているのか?不安になる上に、腰は曲がり
ふらふらにもみえるのに、コテを持つと誰よりも
シャキッとしていた。


施主施工の範囲は脚立で手の届く範囲。足場が必要な
高い壁や手の届き難い場所、難所は職人仕事とした。
そんな難しいところをひょうひょうと塗ってゆく。


プロの技は流石。眺めていてあれほど気持ち良いもの
もない。大工も塗装も同じ、職人さんあっての
建築だと実感する日だった。


工務店のO氏、案外夢中で塗仕事にも参加下さり、
作業着を真っ白にしていたのは印象的だった。