断面をスケッチに起こす。 

学生時代、感性ではなく理論から設計に取り組む先輩が居た。我々の多くが感性で勝負する中で特別な人であった。
彼曰く、恩師の設計は断面が良い、と。その言葉が離れずに居て、かつ、理論から展開するデザインへの興味もあり、自分自身は感性に頼るタイプではあるのだけれど、それに今もそれは武器にしているけれど、考える事に努めて来た。
計画の際は敷地に立ち、周囲を見渡し観察し、感覚で得たものを分析し、理屈を構築してはコンセプトへと導き、間違いのない設計にいかそうと。今はそれは常となり、感性が暴走することはない。暴走はルールの範囲内で制御できるように行う。


・・・つまり、断面が好き。断面とは空間を示す方法で、平面とは行動を建築の言葉に置き換えたものと言える。実際の空間は断面が図面上で良くなければ、実際に良い事はない。平面がどれ程素敵でも、断面が陳腐なら見るに値しない。設計に取り組んで以来、断面または詳細を記載する矩計図は絶対に手を抜かず、何度でも描き直して最良を求めてきた。


実空間では平面以上に断面の影響は強く、構造も絡む検討が必要な部位でもあり、取り返しが付かない。特に、攻める計画を好むので、それはより重要となる。ただし、寸法体系、空間については更に正解のない世界であり、解法を説いたマニュアルも存在はせず、人の相対的な感覚によるものであり・・・つまり大変に難しく、面白い。


これまで2100mmの天井高さは日常的に使っている。随分低い天井ではあるけれど、困る事のない高さでもある。ただし、様々な空間と組み合わせる事が出来なければ、ただ低く狭苦しい空間になってしまう。


帯広の住宅では、部分的に更に攻めた寸法を使い、LOFT想定の空間は更に低く設定をしている。これもこれまでの経験から使える空間の関係を学び、得たものを駆使して求めている。既に実際の見える現場では、それがとても楽しい。


という事で、名取の住宅で描いたスケッチがとても楽しく、函館の家を描き、夜な夜な仕事!でもなく趣味的にではあるけれど、帯広の住宅も描いてみた。設計した住宅は3Dモデリングも通常行っているので、それを下絵にすると描けてしまう。本来、プレゼンテーションで使うにはもう一歩工夫が必要かと思われるのだけれど、私のブログなので、経過として掲載。





この住宅はおそろしく小規模でもあったため、クライアントに理解を頂きたく、模型のみならずパースも充実させて設計に取り組んでいる。スケッチは分り良いという意味で優れる。パースは光も反映できるので、こちらの方が綺麗なのかもしれない。

現実には絶対に見る事の出来ない光景。見る事の出来ないものを設計の際に十分に検討をする必要がある。その意味では、クライアントへの提案ではなく、私自身が検討しOKを得るための資料である意味の方が強いのかもしれない。


断面図の綺麗な建築は、実際の空間が素敵である。これが真実で在る事を否定できない。
勢いで書いた投稿、乱文は後に訂正、調整をします。



この住宅、ループ動線は・・・子供スペースでLOFT下に一つ、子供スペースから下階の主寝室のLOFTへが一つある。鬼ごっこは難しいけれど、視線はあちこちに及ぶので、かくれんぼは可能。何より、実距離がある。小さいけれど、長手方向はしっかり歩かなければならない距離があり、その実際の距離がスペースとスペースのプライバシーを担保している。家族が最大現にプライバシーを求める時はシビアではあるだろうけれど対応が出来る事、十数年後に子が家を出る頃にはまた別の使い方が出来る事、後に親子孫の関係が子孫に移る事があっても生活が出来る事、汎用性は様々、水廻り+DEN的LOFTの塔を中央に4つのスペースから成るオープンな構成の住宅。