補足 【K邸】

先日載せた函館の住宅のスケッチ、
切妻屋根か勾配屋根の単純な家?
と知人の指摘があり、不足なので
補足のものを貼り説明を加えます。
相当な苦労をして取り組んで頂いた
工務店の苦労は正しく伝えたい。


丹精に見える室内。
人の知覚は不思議、脳は事物を
把握すべく単純化を試み、
水平垂直に捉える傾向にある様です。
実際、街中の三角形の地域ならば、
4辺があると思って歩いてしまう。


竣工写真で載せた写真は現実を示す一枚。
平行と思っていた壁は斜めにすぼまり行き、
奥の方は狭いので偽絵のような具合となり、
実際よりも奥行きの室内に見えます。


幾つかの傾斜する壁のある家、それらが
交差するエントランスを見上げると・・・
複雑さが写っています。ロフト状でもあり、
高さ方向も、はて何階?という具合です。



室内の最上部から見下ろす写真。
見る視点よっては室内の把握が難しい。
斜めの壁を斜めの屋根で切り取り作る室内、
知覚は実際、とても難しくあるものの、
効果は大きいものと思う。


下手をするとローコストの小規模住宅を、
3次元曲面的な複雑な設計にしてしまう
おそれもあったのですが、懸命に取組み、
構造はシンプルに整えて建築しています。
それでも、工場加工となるプレカットでは
対応の出来ない箇所は多く、現場では
現場代理人、大工さんに相当な苦労を
お掛けしました。


彼等の苦労のおかげで、室内の人には殆ど、
その複雑さを感じさせる事はありません。


パースでしか見る事のできないアングル。
この角度なら建築の全容が分るでしょうか。


直交する90度を基準に置き、他に幾つかの
角度のある軸線を設けてコンセプトを守り、
建築することの出来た住宅です。


建設費高騰で落ち着いている今、
一つでも角度を振ればその分がコストに
確実に乗ってしまうはずなので、とても
難しい取組みになるかもしれません。