【 MoAi in ny 】 まもなく竣工。


設計監理中の帯広の住宅は最終盤、現場は佳境。
ふと眺める光景は夕暮れ前、電球色の光と、
建具職人の青い服といい、色とりどりであった。



なかなか趣きのある室内風景になれそう。


この住宅の具現は危ぶまれていた。
要望と敷地、予算の関係はなかなか合致せず、
概算時にはある種の絶望的覚悟を要しもした。


正直、実施設計で終ってしまう可能性を否定
できずに居た頃、何故かクライアントは早まり、
貼りたいとしていたポスターを購入しては、
嬉しそうにメールで連絡を寄越していた。


晴れて貼る機会が訪れ、お世話になる現場の
代理人がその長い手足を伸ばしてポスターを
押し広げてくれ、どうレイアウトしようか?
クライアントと一緒に皆で思案の光景です。



【 MoAi in ny 】

間もなく、彼ともお別れだ。
寡黙であったご主人は
モアイ収集が趣味だと
お聞きしていた。
はて、モアイとは?
一緒に居れば、
理解できるかなーと
思い立ちお借りした。
彼とも彼是久しい。
寂しくなるのかな?
何かすっかりモアイ。



お話をお聞きする事の多かった奥様、
旅行がお好きで、NYは良く訪ねた場所、
住まうように長期滞在をされていて、
ポスターのブルックリン橋もその辺りから。


ドマのない住宅は久しぶりに設計をする。
しかも、極めて小さな家。小さいと書くと、
また何か言われそうだけれど、面積上は
やはり素晴らしくコンパクトな住宅。


ただ、空間そのものは小さくはない。
この辺りの事は設計後記でまとめたい。


室内は塔や壁が立ち並び、さながら街並み
の様相、そこにあちこち路地があり、
彷徨うように各々のスペースにたどり着く。
その各々から、あちこちが見通せる仕組み。


小さな建築ながら勝ち得た空間を最大限に
楽しくできないかと悩んだ住宅は、
今は実感に変わっている。


何て呼ぼうかと悩んでみて、英語表記の
必要は無いのだけれど、そうしてみたく、
語学堪能のBookshelfのオーナーさんに
相談をしてみた。


Bookshelfは楽しい家、帯広の住宅の
クライアントもお連れしている。


オーナー様からの返信には、STING
『Englishman in NewYork』を思い浮かべたと。
簡単で明快、モアイの住むNY。
NY?
小さな空間に様々を繰り広げた住宅、
NYは名乗りたいとも思っていたけれど、
そこは控えめに小文字で表記したい。
これはクライアント奥様も了解下さる。


という事で以降、このブログでは、
帯広の住宅を『 MoAi in ny 』と
呼ぶ事にします。


写真の彼(=モアイ)はどう過ごすのか?
楽しみであり、興味深い。