【 MoAi in ny Story vol.24 】 ディテール・スケッチ 【編集中】

ここで建築において重要な方をもう一人紹介する。それはS工務店のI氏。
実力者ながら奢らず、優しく、応対は丁寧、いつも笑顔、でも仕事は厳しく。


■サッシ廻りの詳細図

■連窓部分の詳細図

■縦断面詳細図(連窓部分含む)

■縦断面詳細図(基礎含む)

■玄関及びポスト廻り詳細図

■サッシ廻り詳細図改訂版


ディテールのスケッチ描き打合せを進めたのは6月初めのことだった。
これは基本詳細となるもの、プレカット前に決めておく必要があるので、短期間に集中して打ち合わた。
窓周りをすっきりとさせたい・・・屋根を薄く仕上たい・・・のような現実の納まり、ディテールは
着工から工事終盤まで取り組むもので、疎かにすると建築の質を落としてしまう。


私は着工前後の早い時期にスケッチを描き、施工者に渡すようにしている。
クライアントの要望を設計者はカタチにし、その意図を施工者へ伝え、理解した施工者は建築をする。
スケッチは意図を伝えるのにとても役立ち、特に手描きは良く伝わるように思える。
現場にあっては大工さん等職人の多くは、手描き図面だと直ぐに理解してくれるような気がします。


「実施設計」図面は見積調整後にその内容を反映した「工事契約図」となる。【 MoAi in ny 】の工事契約図は全37枚。
この図面は見積と整合し、何を造るのかを記すもの、契約の根拠となるもの。
けれど契約図での詳細図の縮尺はせいぜい1/20程度、実寸レベルでのディテール検討は欠かせない。
掲載したスケッチは設計『 監理 』時の重要な仕事になる考えて取り組んでいる。
無理が無く、合理的で、製作可能な、意図を具現するものを先ずは創り上げる作業、これはとても楽しい。
施工者によってはスケッチを面倒がり嫌がる方があるかもしれないが、建築には施工者に理解は欠かせない。


これらのスケッチをI氏に送った後の打合せ、彼の応答は心地の良いものだった。
「ここまで描く人は知りません」と、迷惑ではなくありがたいと言って頂け、私は素直にその言葉を信じました!
この時点でよく話し合い決め事を整理出来れば、現場で迷ったり困ったり滞ったりせずに済む事を思えば、我等は懸命。
建築序盤を支えて下さったI氏とは本当に長い時間を費やし一緒に取り組ませて頂いた。心から感謝しております。




ちなみに掲載ディテールは決定案ではなく検討のための資料。このまま採用したものもあれば、検討を重ね変遷したものもある。
監理時の緊張は伝わるだろうか? 

ディテールどころか、図面すら覚束ない設計者も少なくないとも聞く。
こんなスケッチを読み解き設計者の意図を理解し工事の出来る施工者も限られる。
設計者や施工者を選ぶ時の基準になるに違いないのだけれど、これはなかなか語られないのだろうなー