室蘭

学校の用事を終えた後、夜のイタンキ浜へ行く。
折角来たのだから、立ち寄らずにはいられない。


が、暗い。ファイダーからは闇しか見えない。


でもまぁ、写っていた。



ついでに崎守埠頭経由で帰る。



室蘭工業大学の建築系卒業生OB会に『創の会』がある。
毎年『創の会賞』を選定し授与する機会、
その審査の大役を預かることとなり挑んできた。
有意義、楽しく、面白い時間であったことを感謝したい。


室工大、建築系は名称が幾多も変遷しているし、
私の居た頃とは偏差値も随分違っていたり、
昨年退官された先生を最後に当時を知る人も無く、
久しぶりに訪ねるには何か縁遠さも感じられ、
けれど、製図室には元気な様子があり、安心する。
『製図室』に住んでいた時期もあるし、
自分の基地だった。


僕の居た頃の室蘭は、情報からは非常に遠く、
建築雑誌で眺める世界は別世界の様でもあり、
故に、独自進化の可能な環境であった様に思う。
当時は規格外と呼べそうな生徒もチラホラと
居たのではと思う。良い意味でも悪い意味でも。


今は規格内優等生が優秀という印象もあるよ。
模型に使う人が既製品と言うのは許せないな。
CAD時代、図形その他も流通品も多そうだ。


今、自分もCADでは流通品を使う事はある。
けれど、気持ちのある設計をする際には、
出来るだけオリジナルを製作して描く。
それに意味があるのかを言われればわからない。
わからないけれど、自分の図面は自分で描きたい。
便利や効率ではなく、楽しくありたい。


評価の対象課題の一つは崎守に敷地があった。
私が港風景を学生時代から眺めていた、
先の3枚目の写真、あの裏手の山の上、
悔しい事に、その場所は知らなかった。


のどかな場所、海があり山があり、街があり、
橋があり、工場があり、船が見え、浜も崖もあり、
古い建物があったり、坂があったり・・・
そういう風景を見て学生時代を過ごした。
建築科の学生だから楽しんだのかもしれないけれど、
散策の楽しさを町から教えてもらったのかも。


今日は私の卒業設計を案内する機会があった。
当時、自分で考えられる範囲、建築の際を模索したもの。
どこまでが建築なのか?そんな問いに挑んだもの。


折角の学生時代、同窓の後輩には飛び出す勇気を期待したい。
収拾できずに先生が困るくらいに散り散りに隙を見つけては
掻い潜って抜け出して欲しい。


自分は学生の時に、どこまで取り組んで良いのか?
建築における手の出せる範囲をまず覚える事が出来た。
先生、先輩、同輩との競争を通じ、とことん際を目指した。


今日見せて頂いた3年生の設計課題の中には、
綺麗なもの、上手いものが多く好印象であり、
尚且つ、飛び出しそうなものもあった。
中には飛び出さずとするものも在ったし、
飛び出し方を模索している照れ屋もあった。
よくよく眺めると、そこかしこに芽はあって、
オリジナルな表現、不可思議な文章、
やりたいことをやった感の楽しいもの、
大笑いをする失礼もしてしまったのだけれど、嬉しい。


自分で垣根を作るのではなく、
見つけた壁的なものは全て壊す勢いで取り組んで欲しい。
わからない事があれば、先ずは、全力で体当たりだな。
痛い思いをして挫けたなら、次はどう超えるか考えたい。
絶対に垣根を設けて防御してはならない。


と、いつしか自分の事を考えてしまっているのだけれど、
初心に帰る事の出来る貴重な機会に参加できました。
今日はもう酔って寝るけれど、明日からまた挑戦したい。