久しぶりの再開で真剣にお話をさせて頂く気恥ずかしさと、嬉しさ。

私のアトリエを訪ねてくれた旧友は6年ぶりの札幌らしく、
貴重な時間を割いて来てくれた。とても嬉しい。
彼は家を建てる嬉しさに満ちていて、けれど悩んでもいて、
それで選んだ相談相手は大学卒業以来、特に旧交を温める
機会も稀だった私、良くも選んだものだ、凄い奴。
奥様同伴でこんな所に来て頂いて、私は刹那ではあるけれど、
真剣にお話をさせて頂いた。


・・・どちらかといえば、チャランポラン加減では似た者、
ただ感じるものがあった。それを学生時代に確かめる機会は
そう多くはなかったものの、彼の個性はもちろん覚えている。
そんな彼の考えを改めて聞かせて頂ける機会だった。


キチンと物を見ることが出来るくせに、妙に茶化してみたり、
でもその様に悪意はなく、元気で楽しく、苦しさを見せず、
彼らしいポジティブな様は魅力。本当に苦しさを見せない。


しかしながら建築場所は長野県は佐久市、遠くて行けないよ。
札幌−東京を飛行機、東京からは新幹線なのだそうだ。
明日帰る予定が台風の影響で直前の便まで欠航が既に判明。
函館まで行き、そこから新幹線とも考えているらしい。
日本、広い。


奥様も楽しい方で、欠航で時間が出来れば、何を食べに行く?
という具合で、予定変更までも夫婦で楽しんでいるみたい。


アトリエでは3時間半?程、そのあと夕食へ、後に飲みに。
建築について多くを話し、案内をさせて頂いた。
響く事はあったのかな?
割いた時間分の価値を得られるだろうか?
彼の判断は楽しみ、また続報のある事を願う。




彼は二世帯住宅を考えている。特に難しい建築だ。
妻の母との同居となるらしい。親子は仲良いらしく、
故にぶつかる事も考えられ、基本は水廻り二セット。
既に大学生の娘は遠くの学校に通う。帰ってくるかもしれない、
帰ってこないかもしれないし。とても悩ましい。
解く事の出来ない問題を抱えての設計、
それでも、解かなければ建築には至れない。
解く事が設計となる。難題だ。


具体的な助言はあるていど出来る。
根底から覆すような前提条件の再考もある。
どうあれ経年する環境、住まう人にも変化がある。
10年毎の経年の変化、次の10年で2人の生活となるかもしれない。
ところが3世帯住宅になる驚く可能性もある。
間違えば足りず、間違えば使わない部屋が過半を占める事態もある。


結局は最後、楽しく住まえるのか?が問われる。
仕方ない、という理由は探せば幾らでも出てくる。
将来に渡り余裕があるのなら、大きな家を考えると良く、
しかし例えそうであっても、適切を探す必要は免れない。
それがフィットするサイズを模索できればと設計は考える。
水廻りの共有が可能なら2.5坪を減ずる事が出来るし、
又は別の空間に使う事もできる。選択肢は様々。


優先順位を整理できるのか?
夫婦で共有出来る価値を築けるのか?
楽しみを見つけられる空間を得られるのか?
言い訳の理由ではなく、欲しいものを諦めずに探し求めて欲しい。


ま、請われれば行くよ、長野県?