原点確認 その4


津別峠からは阿寒国立公園屈斜路湖が一望出来る。
実に良い眺め、朝方は屈斜路湖の雲海が望めるので、
季節(日の出方向)によっては撮影ポイントになる。


青さをより得ようと思い、少し上から撮ってみて、
手を伸ばして写真を撮る。影が写ってしまった。


展望台に上ると、先客が一人、スケッチをされていた。
聞けば九州の方で火山の研究をされているのだと。
今は摩周湖の噴火を対象としているという。


見えている出島、ここは和琴半島。数え切れない程、
ここでキャンプをした楽しい思い出。
その和琴半島の上の方に見えるのが摩周の外輪山。


摩周湖カルデラ湖、巨大な噴火の痕跡だ。
聞けば噴火は7200年前、比較的新しい。
噴出物は多くはなかったものの爆発のエネルギーは
相当だったらしい。火砕流は広範囲に及んだらしく、
屈斜路湖カルデラを乗り越え広がったという。


時期を考えると、私の特に好きな石器を使った文化、
大陸から樺太経由でやって来て、白滝で見つけた良質な
黒曜石を使って手数を掛けずに見事な石器をつくる
石刃鏃文化が花開いたのが女満別、きっと彼等は
辿り着いたこの地で大噴火に遭遇したのだろう。
築いた文化が失われてしまったのかもしれない。


火砕流は阿寒にも伸びたらしく、そのような痕跡は
今も広範囲に確認が出来るらしい。ただ南斜面は状態が
良くないらしい。積もった火山灰故に地盤が緩く、
それが方位と関係しているとも話して下さった。


・・・つまり、7000年程前の阿寒国立公園とは、
灰に埋まった死の世界、道東の過半が死滅した現実。
今は緑豊かなこの景観も、実は刹那の出来事なのかも。


摩周湖の噴火、同じ頃に九州でも同規模の噴火があり、
おそらく当時の日本は大混乱に陥ったのだろう。
縄文最盛期は5000〜6000年程前?人類って逞しい。


私が訪ねてしまい、火山研究者はスケッチの手を
止めてしまった上に、しばらく二人で話もしてしまい、
お邪魔してしまいました。すみません。
しかし、得がたい実地での情報は貴重な機会、
ありがとうございました。感謝しております。


と言う事で、幾つかの峰越しに阿寒の山も。



北海道を眺めると4つの穴が開いている。
摩周湖屈斜路湖支笏湖洞爺湖
どれもカルデラ、この内の一つ摩周湖の爆発を
北海道に居た人が経験をしている。
そんな事を考えて故郷の風景を眺めると、
また違った思い、スケールの大きさを実感する。