下書き中。

竣工後8年を迎える住宅を訪ねた。
行こうと意気込むと案外タイミングが合わず、
近くに用事があったので、その後でフラリと。


お子様が生まれた。


設計では、計画の際に様々を考えた住宅。
要望だけ聞けばとてつもない規模だった。
子供に将来は親同居、でも今は夫婦二人・・・
規模を大きくすれば解決にはなるとして、
大き過ぎれば維持管理の負担は増すし、
単価コストを下げては質を得られない。


やはり、欲しい質を得られる適正規模で、
この様々な将来の出来事に対応できる
柔軟なプランはないものか?試案し、
私としては、かなり普遍的な解答を
導けたのではと考えている、住宅。
その成果は今試されていて、
挑んでいるのはオーナーなのですが。
お子様が生まれ、次のステップ、変遷の過程を
歩み始められている。



この住宅にはドマがあり、リビングとは
150mmの段差がある。今は子供にとって危険と
思われるものの、ハイハイしだせば遊び場に、
早々に支障のないものとなるだろう。


実際、別の住宅ではハイハイ期のお子様が、
段差と柱をともかくグルグル降りては上り、
回り、時々誰かを見ては笑顔であった。


今はドアがトイレ以外にないオープンなプラン、
そこかしこに場所は築いているので生活に
支障はないものと思う。
逆に、ドアがなければプライバシーが
守れないプランは実は心もとない。


懸念の事は子供の部屋。お子様の成長に合わせ、
変遷はあるだろう。ただ、どうも小さな頃から
そのような環境で生活すると、慣れもあるのか、
個室化よりも、「自分の場所」の確かさの方が
大切にされるように思う。


思春期となるだろう中学高校の6年間が、
子供に個室を与えるかの期間だろうか。
建築寿命の中では短い時間でもあり、
ここをどう乗り切るかによって住まい方が
決まってくると思う。
完全個室化してしまうと、使われない期間の
方が長くなってしまうだろうし、出来れば、
建築した室内は広く常に使われる空間にと思う。


実際、個室化せずに二人が育ってしまった
住宅がある。二人のお子様はこの春に無事、
大学生となり家を出たその住宅、
受験の際はきっと個室化するだろうと思えば、
子供の方から不要と言われたらしい。
どういう心境であったのか、何れ直接、
尋ねる機会もあるだろうか。
むしろ親が困ってしまい、気を使ったとか。
最も、個室の有無に関係なく、受験生なら
気を使うに違いはないので大差はないのかも。
部屋に居ても勉強しているかは分からないし、
結局は居間で勉強していたりして、
頼むから部屋に行ってくれと、親が気を使って
落ち着かない!という事は珍しくないはず。


自身の経験も添えているので、つい長くなるナ。


訪ねた住宅が築30年を迎える頃には、
夫婦お二人の住まいに戻るはずなので、
その後も続く生活を支える器と考える。
二世帯住宅化となれば、それはそれで
新たな展開に臨むだろう。


変遷できるよう柔軟であるという事は、
問題を先送りしているとも言えるのだけれど、
どういう要望がこの先に生まれるのかは、
想像を超える事もあるだろうから、やはり、
柔軟に呼応できるプランで在りたいと思う。


部屋数を確保すれば解決できる程度の問題で
生活の何かが解決できるとは思わない。
もう少し楽しく在りたい。なので悩むのさ。




訪ねると、そのお子様が居て、目が合う。
最初は、誰?という目でじーと眺められる。
人からああも長く真っ直ぐ見つめられる事はない。
親は喜びもあれば悩む事も多いと思う。
その視線に応えられる存在なのだから。
来客である私は、結局は遊んでしまい、
やがて、私に笑顔を見せてくれるようになったので、
この日は実に気分が良かった。
笑ってくれたし、抱っこもさせてくれたし、
また遊びに行きたくなってしまうなー