アルテピアッツァ美唄

美唄にある安田侃氏の彫刻が屋内外に展開する彫刻広場、
アルテピアッツァ美唄”は好んでしばしば訪ねる。
ただ過ごすだけなのだけれど、そういう時間の使い方は
実はとても贅沢なことなのだろうなと思う。


この日は曇が空を覆い晴天ではないもののとても暑かった。
昼頃に着くと既に池の周りは子供達がはしゃぎ回っていた。
後先考えずに自分も入れば良かった。



普段は直ぐに上を目指し始めるのだけれど、この日はふと
体育館へ向かう。曇天の空から滲むように入り込む光が
館内を薄明るく浮かび上がらせていた。


最近、光が少ない時の陰影に興味を感じている。トーンを
下げるとそれまで見えなかった陰が浮かび上がりモノが良く
見えるような気がする。体育館で幾多の人に触れられるこの
彫刻も薄明るい中にその痕跡が浮かび上がるようだった。





ここで一番好きな彫刻はこれかもしれない。高台奥の針葉樹の
林の境界にある巨大なタマゴ。いつも神々しく輝く様はモスラ
のタマゴのようでもあり、生命感に溢れている。人知れず静か
に鼓動するかのようだ。


冬に気が付いたこの不思議な光加減、その時は凍てついた
金属が見せるものと考えたのだけれど、それは針葉樹の林
の天に見える隙間の空を鈍く映えている様だった。


林に入り見上げる空は印象的だ。木の枝葉はシルエットと
なり、影絵のように空を地から切り離し光を見せてくれる。
このタマゴにはそんな光の幻影を映し出し目線にその様を
浮かび上がらせている。光のウツロイがその生命感を作り
成しているのだろうか。



     
この日、特に印象的だったのは広場と森の谷境界にポタッ
と置かれているこの彫刻。磨かれた後だったのだろうか?
他とは異なる金属の輝きを放ち、損なわずにギラリと輝く
その先には空の光があった。



曇で覆われた空模様がつくる光具合はなかなか絶妙な光景を
見せてくれた。写真を幾枚か写真集に収めたので興味のある
方は是非どうぞご覧下さい。→アルテピアッツァ美唄