O邸 【 DOMA / yamanote 】


O−house(名前は未だ仮称。)
札幌市内山の手にて建築中の住宅。パースは計画の際に製作したもの。


今年の1月に初めてクライアントとお会いし、一度スケッチにて方針確認を
した後の2月中過ぎに、このパースを添えて計画を提案させて頂いた。


四角い小さなチョコレートケーキのような住宅。要望にあったパーゴラを
アプローチと車庫、物置に利用し、その奥に庭を配置している。道路から
見て左に住宅、右にコートと並ぶように配置計画をしている。景観を考え
ると塀を立てて庭のプライベート性を高め”コートハウス”として計画する
ことがより望ましいと考えた。



その俯瞰図。上からの眺めパース。予算の許す限り大きな容積を確保
できるよう無理無駄のないシンプルな構造の箱型の住宅となっている。


       
内部は長手方向南側に吹抜けの土間空間を配置している。これが時に
リビングの一部、キッチンの一部、通路などに変化しつつ階段より2階へと
続いている。庭への大きな開口があり採光と眺望、換気の具合が適切と
なるよう検討を重ねている。窓は高価な部品でもあり効率化は効果的。


       
土間の玄関と反対側エンドは洗面スペースとなっている。どう施せばその
末端にあって質のよい空間になれるだろうか?採光の具合も検討しつつ、
計画している。この左手奥には造作の浴室となる。土間という一つの小道
にストーリー展開を与えて計画を進めてきた。





O-houseuはローコスト住宅でもある。仕様は良い。これをどこまで
切り詰められるのか?見積もりは困難を極めた。先のキッチンの記事に
記した通り、図出し開始から考えると2ヶ月程度の期間を要している。
後に取捨選択しようとギリギリにして多くの増額要素となる希望を盛り
込んだ結果、最初の見積もりはやはり予想通りにビックリした。
一般に減額調整とは仕様を落とす、規模を縮小とするなど残念な変更の
積み重ね作業となるかもしれない。減額作業を通じクライアントはより
理解を深めて行き、設計、施工の協力を得て本当に必要なもの、欲しい
ものを選び抜き適正な見積もりを作って行くことになる。


先ずは何度も内容を精査してとことん要不要を判断する作業に徹した。
次いでローコスト化できる様々な取り組みを試みている。例えば、
塗壁→ビニルクロスという仕様を落とす作業は残念なこと。これを・・・
塗壁→塗壁(施主施工)という具合。私も壁塗りしなければならない。
笑ってはいけない。これは確実に価格を下げる最善の一つ。珪藻土
塗壁作業は実際、とても楽しいものである。過去に何度も経験している。
ちなみに木塀の塗装も施主施工という仕様に落ち着いた。間もなくかな。


その他、仕上を無くし躯体仕上とするような変更はとても有効だ。この
方法はクライアントの理解が欠かせない。また非常に施工難易度が上がっ
てしまうのだけれどスレンダーで精悍な仕上げを求めることが出来る。
その代償としてどう造り納めるのか?本当に悩むことになる。
「これどうやって造るんですか?」などと現場から電話が掛かってきたり
するし・・・


結果、多くの増額要素であった希望を残しつつ、なんとか踏ん張れる状態に
至っている。浴室は造作するし、キッチンはオリジナルを製作する。壁は
塗壁、床は無垢のフローリング・・・良くここに到達出来たと思う。




現在は基礎工事がほぼ終了。