”DOMA”という空間について。

住宅の中に土足も可能な”DOMA”を取り込みプランを展開する
機会がいつしか多くなっている。”DOMA”とは?少し書いてみたいと思う。
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「通り」をイメージして空間がデザインできないだろうか?昔から
考えているテーマ。このパースは十数年前に製作した試作モデル。
 



     

白い箱を浴室やトイレ、収納とし、大きい箱にはロフトを組込み
個室とする。上屋を掛ければ住宅にも早変りする。




     

通りを覗いてみると”路地”が出来上がっている。必要な諸室が
配置され、自然発生的に”路地”が生まれ変遷して行ける。




     

広がりには人が集いリビングやダイニングとなるだろう。階段は椅子
となり、心地よい場所を探し、落ち着く場所を作って行けるだろう。




”外”のような広がりある”路地”を取り込み、より個性に富んだ
様々なスペースを展開できないかと試みている。






■土間

最も初期には、友人の家を考えた時に一つの姿が現れていた。
スノーボードに凝っていた彼の家、玄関を広くプランする。メンテ
ナンスはもちろん広い玄関で。友人が来た時にもそこでたむろし、
珈琲が飲めるようミニキッチンの設置を考えた6帖程のスペース。

これを”土間”と読んで解釈していた。




後に丘陵地に計画した住宅においても意識してプランしている。

   

来客頻度の高いクライアントに、座敷ではなく広く見晴らしの良い
土間を応接としてはどうかと提案する。丘陵の斜面に沿うスケール階段室、
高台の見晴らしのあるホールは応接に相応しい環境であった。





■エンガワ?


      

初めてBookshelfにて実現したこの土間は”エンガワ”と呼ぶ方が
理解易いかもしれない。庭に面するこの土間には全ての部屋が
接して並び、正に”路地”のようなスペースとなっている。


その用途は主動線である他に野球、スキー、キャンプ道具の手入、
子供の散髪にピアノ、ストーブの火遊びや読書など大活躍でもある。
庭へはあちこちから出入りが出来き、土も水も土足も支障なし。


「外を取り込む」ことを意識したこのエンガワ的土間空間はリビング
よりもパブリック性の強い公的な空間でもある。2世帯をオープンに
結ぶと同時に、円滑に内と外とも結ぶ要の空間となっている。


本来の土間とは用途も性格も異なるものの、「土足」が可能という
その勝手は厳しい外的環境故に閉鎖的にならざるを得ない北海
道の室内環境において”外”を強く意識させてくれる。



”外”とはリビングよりも強いパブリック性を帯びている。これを付属的
なサンルーム等とせず主体的にプランに組み込むことでより豊かな
環境を構築できるのではないかと考えた。





■”DOAM”へ


      


道南の住宅”DOMA”においてもこの土間を主体的に使っている。
シンプルな平屋の住宅、深い軒先と相まってよりエンガワ的でもある
のだけれど、設えたテラスのウッドデッキへの自由な結びつきといい、
室内外を超えて風景との一体感ある生活空間を創造している。


緩衝域、中間域といった異なる空間を結ぶクッションの役割を担わ
せるのではなく、より主体的な存在として相応しいスケールを与え、
プランの要であり生活環境に落ち着きを与える必然の空間として
計画している。



エンガワ的でエンガワではなく、土間的で土間ではないこの空間を
一先ず”DOMA”と呼称して提案を試みている。
”Bookshelf”を通じて実感したDOMAという空間は道南の住宅
”DOMA”において、敷地の魅力とシンプルなプログラムから更に
強く意識して設計する機会となり、これをその名としている。