銘木 【 DOMA / yamanote 】

O邸のクライアントより家具の相談を受けていたこともあり、お世話に
なっている銘木店を久しぶりに訪ねて来た。規格化された床柱などを
除くと今の建築現場では銘木を扱う機会とは、実は稀である。


無垢材は集成材や合板等と異なり変化は大きい。使ったことのない
施工者も少なくないかもしれない。扱いには手間を要するし、製品と
して在庫されているわけではなく、値段は時価、言い値かもしれない。



この銘木店の店主、口は悪くズケズケ物を言う。うん蓄は面白く、
話は長い。聞くと色々なことを教えてくれ、木とどう接するのかを
自身の経験を通して適切に伝えてくれる数少ない人だと思う。


倉庫のような店内には丸太から引いた板材が所狭しと並ぶ。その中
から一枚一枚取り出して眺める行為はかなり面白い。多くの樹種が
あり、木目は様々。触った感触や匂い、眺めていて飽きない場所だ。


ミソは一枚一枚に価格の表示があることだろう。丁寧に取置かれて
いる半材や切り落としの木っ端からはイメージが浮かびそう。しかも
安価ですし。使い道も考えず「買おうかな」と思ったりしてしまう。







クライアントの意中はテーブル。4枚ハギのタモ無垢の試作品だった。
非常にお買い得な設定、ただし磨き仕上と塗装は自前である。場所
も道具も提供してくれ、教えても頂けるので作業は安心して出来る。


自分のテーブルともなれば気合も愛情も違うだろう。傷やシミは磨け
ば消え落とせ、いつまでも使える一品となる。塗装にウレタンのような
テカテカの硬い塗膜のものは使わない。無垢材の風合い、質感を損な
わない適切なものを使う。さてどうなるでしょう。


家を考えるなら、一度は覗いてみても損はないのではと思う。
何に使おうかな?なんて想像しだすと楽しく過ごせます。