お寺の改修
道東の街は寒かった。札幌を出る時はまだプラス気温であったのだけれど、
石北峠に差し掛かる頃、グングン気温は下がり-10℃を下回る。故郷の街では
-13℃まで下がっていた。しかし、今年既に-20℃を経験しているので、それ
ほどでもないという雰囲気。凍てつくという表現が身を持って理解できる。
日本中で最も暑い日が年に何度かあるし、寒い日は何度もあるような場所。
ところが翌日は雨となり、その翌日は冷え込み、道路は見事なアイスバーン。
同じ北海道でありながら、寒さの質は相当な違いがあることを改めて知る。
過去に携わったお寺の改修、前回は本堂を残し会館と庫裏を手掛ける。今回は
写真右手に見える施設、納骨堂がその対象となる。随分古い建物、老築化は著しい。
100周年を迎える今期、最後のパーツが改められることとなった。
お寺の仕事など、望んでもそう出会える機会ではない。檀家様の多くと関わりあう
設計は非常に難しいものでもある。工期や予算の面での労も少なくない。
その設計は人の生死を意識する緊張がある。
昨今は住宅を主に携わるけれど、住まいからは”死”という感覚が薄らいでいるとも
言われている。住まいとは人の生を育む器であるのかもしれない。その生において
欠くことのできない事柄と真摯に向かい合うことの出来る貴重な機会となるのだろう。