白滝の石器




    


この石器との出会いが北海道の考古博物への興味のキッカケなのだと思う。
北海道開拓記念館に展示される石刃鏃文化の石器。素材に拘る大陸の人が
白滝で最高の素材と出会い花開いた文化と聞く。石器は黒曜石で作られる。


この黒曜石が一際美しい。巧みに加工されるのではなく、石という素材の
良さを最大限に活かし、手数を掛けずにシンプルにデザインされた道具の
美しさ、その文化の美意識なのか、こだわりに敬服させられる。




    


江別にある埋蔵文化財センターで出会ったこの石器も白滝のもの。石刃鏃
文化よりも遥かに古い後期旧石器時代(約3万年前〜1万2千年前)のもの。


この石器、長さ36cm、重さが1.2kgもある。マンモスでも仕留められそうな
大きさなのだけれど、投げるのは重すぎて無理だろう。実用ではないらしい。


このサイズの石器を作るには良質な素材が欠かせない。その一大産地が白滝
なのだそうだ。今年の春、白滝遺跡出土品が国の重要文化財に指定されている。




      


重文指定に伴い、遠軽町旧白滝村に埋蔵文化財センターが新設され、先ごろ
オープンしている。道東のお寺の現場の帰り道、高速に乗る前にチョロっと
立ち寄り、スケッチした石器の”本物”を眺めて来た。 ・ ・ ・ ご褒美か?


赤みのある黒曜石、鉄分が含まれているのだろうか。2日に渡る仕事の後でも
あり、精魂込めて眺めるまでの気力に欠けていたのは残念であった。ここは、
またゆっくりと眺めにくるだけの価値があるのではと思う。





細石刃は人の知恵の凄さを物語る道具だと思う。初めて知った時、その発想に
驚かされた。石器時代の原始人?なんて考えは一瞬で消え去ってしまった。
そんな道具を使う人が想像を超える程古くから北海道にも住んでいたらしい。


それにしても、天然ガラスである黒曜石の意図的な薄い破片は美しい。
道具なんかじゃなく宝飾品にすら見える。つい、見惚れてしまうな。