「細雪」谷崎潤一郎を読んで。・・・読書感想文です。


谷崎潤一郎の「陰影礼賛」を再読し、
春琴抄」に興味を深め、「細雪」を読んだ。
我ながら三巻の大作を一週間で読んだのには驚いた。


でも、少し勿体無かったかなと思う。そんなに慌てずに
読めば良いのに。数年の月日を費やした書き物、数年を
費やして読むなら、よりリアルに読み深められただろうと思う。






おそらく、どこから読み出しても差して影響はなく、
ただただ「きあんちゃん」の上手くは行かないお見合いと、
こいちゃんの勝手な様と、なかあんちゃんの想いを知るのみ。


のらりくらりの長文体で描かれる女性は、正に女性に思われた。
女性が書いたのか?と表紙裏の作者の顔見ると、
厳つい男が、妙に潤っとした目でこちらを見つめていた・・・。




病に伏したこいちゃんの肌に言及する時の表現は、
陰影礼賛にも通じ、酷くリアルな様が想像でき、
怖いほど眼前に迫るような、緻密な凄さや、
船場とかいう大阪の文化、言葉と共に、「日常」
楽しくも感じられ、感慨深い世界であった。


箱入り娘なんて、言葉の上だけだと思っていたものの、
本当に在るかもしれないと思えた。


どうやら吉永小百合がきあんちゃんを演じた映画があるらしい。
自分の想うイメージとも少し違うようにも感じるのだけれど、
それは観てみたい。




写真は細雪を読み終えた後、感傷に浸りつつ、
向かった森で撮ったもの。


4枚の葉は四姉妹です。未婚の二人は小さな葉。
いろいろ在った末っ子のこいちゃんは、二番目に
大きな葉(中あんちゃん)に隠れています。