街を眺める窓。

写真は、むしろ外に露出が合っているので相対的に
室内は暗く、吹雪の朝、吹き付けられて窓に張り
付いた雪が室内にその臨場感を伝えている、まるで
映画のスクリーンのように街並みを映し出す窓。




デザインに関わったマンションは本日引き渡し。
先週末、撮影に訪ねる。
エントランスホールは街に面している。
どのような窓を設けようか?思案を始めてから
約一年半が経過し、ようやく竣工に至る。




路面をゆっくり動く、電車のある長閑な風景。
人の往来をも連れてくる乗物、人の歩みに呼応する速度感。
到着や発車を周囲に告げる汽笛の、響き渡る音。
その存在を頼りに作られる電車通り沿いの街並み。


建築のデザインは、そんな街並みに参加するよう考えた。
ホールからはその街並みが望められるよう窓を設える。
余計な背景を見せぬよう低く構えた窓が風景を切り取る。





想像以上に楽しい窓になっていた。吹雪の中での人や車、
電車の往来は殊更、ドラマチックでもあった。
後に私自身、立ち去る時はこの窓に映っていたに違いない。