【DOMA NATORI】竣工 その5


その3編で紹介した室内風景、昼間の光景。
照明は灯さず、しかし台風の曇天の空の元。
悪条件下では建築素性が良く現れる。
照明は不足を補う以上に演出が出来てしまう。
けれど、素性も隠してしまうかもしれない。
無灯の状態での室内の広がり、暗く陰湿感を
伴う『隅』への自然光対応の様が問われる。


晴天や夕陽のような印象の良い時はカバーが
出来ても、この状況下で不足のない事を確認
出来たことは、天候に恵まれなかったから。


その4編でも紹介させて頂いた漆喰の塗壁、
計画した開口の光を良く映え、室内の明るさを
担ってくれている。開放感を得、明るさも得る。


室内対角、対面に開口があり、山間の敷地、
風通しにも幾多の選択肢がある。夏場の暑さに
どこまで耐えうるのかも挑めるものと思う。


室内の明るさを南側のみに負うことはしない。
南側に大きな開口を設ければ明るいというのは
信じる者にとってのみの話でしかない。
空間の明るさは、隙を見逃さぬ自然を相手に
計画しなけらばならない。
南側に頼る多くの住宅は、この天候の元では
薄暗くなること、隅の暗がりの陰湿感を
免れることが出来ない。
この住まいは写真の通り。悪条件を克服する。
中央右手の奥は洗面台が備わり、そこには
大きなテラス窓、さらに先にある浴室も窓が
あり、採光、換気の対策をとっている。


この光環境は、模型を使い、図面をにらみ、
様々に悩んだ末に決定をしている。
その成果を具現で確認できた機会に安堵する。
正直に言って、安心できた―